バレンティンはイメージと真逆の「真面目」 鷹通訳が語る素顔と移籍秘話

ソフトバンクのウラディミール・バレンティンと青木レオナルド通訳【写真:福谷佑介】

鷹通訳が明かしたバレンティンの知られざる素顔

 3年ぶりのパ・リーグ優勝、そして4年連続の日本一を狙う2020年のソフトバンク。王座奪還を目指す今季に向けて、補強の目玉として加入したのが、ヤクルトで通算288本の本塁打を打ったウラディミール・バレンティン外野手だった。

 王貞治球団会長が持っていたプロ野球のシーズン最多本塁打記録を更新し、ヤクルト在籍9年間で8度の30本塁打超、3度の本塁打王という輝かしい実績を残してきた大砲だ。日本一になりたい、という大きな夢を持って、ソフトバンクを新天地へと選んだ。

 そのバレンティン。ソフトバンク入団が決まった際に、自身のインスタグラム上で感謝のメッセージを送った人物がいた。1人が尊敬する王貞治会長とヤクルト時代にチームメートだった川島慶三内野手、そして、ソフトバンクの通訳を務める青木レオナルド氏だった。

 現在、宮崎で春季キャンプを行うソフトバンク。初日からキャンプに参加しているバレンティンの横に付き添う青木レオナルド氏に2人の縁や、ソフトバンク入団までに2人の間にあった知られざるエピソードを聞いた。

 2007年からMLBタイガースの日本担当スカウトになり、2010年に楽天、2011年からの3年間はDeNAで通訳を務めてきた青木レオナルド氏。DeNAではターメル・スレッジやトニ・ブランコを担当していた。

 バレンティンとの交流は2011年まで遡る。この年、ヤクルトに加入したバレンティンと通訳を務めていた青木レオナルド氏は、同じスペイン語を話すこともあって良く会話を交わす仲になった。試合後には食事にも行き、様々な話をしてきた。オフになっても連絡を取り合うなど、友人として仲を深めてきた。

バレンティンから鷹の印象を尋ねられた青木レオナルド氏は「僕が『おいで』と言える立場では…」

 このオフ、バレンティンにソフトバンクがオファーを出すと、バレンティンから青木レオナルド氏のところにも連絡があった。その時のことを同氏は「『ソフトバンクはどんなチーム?』と連絡はありました。僕が『おいで』と言える立場ではないので、このチームの環境などは伝えました」と振り返る。

「『この球団に来たら、絶対にこれまで以上に成績を残せるよ』『目標にしている日本一、チャンピオンになるというのが絶対にできる』『この球団のサポートはナンバーワンだから環境は心配しなくていい』と伝えました。そして『あとは自分の判断だよ』と話しました」

 これだけでなくソフトバンクとしての、そして工藤公康監督が選手たちに求める決まり事もバレンティンには伝わっている。「監督の決めている、常に全力疾走することだったり、練習もちゃんとやらないといけないよ、ここはナンバーワンのチームだから、ということは伝えました。バレンティンもそれはちゃんと理解しています。『日本一になりたいし、もちろんそうだ』と言ってくれています」と青木レオナルド氏は言う。

 ヤクルト時代のイメージからか、やや怠慢な印象を持たれがちなバレンティンだが、その素の表情を知る青木レオナルド氏は「全くそんなことはないですよ。本当にそんな人なの?って思ってしまいます。真面目ですよ」という。キャンプ中もベースランニングやダッシュのメニュー、練習後のランニングメニューまできっちりこなす姿がある。

 ソフトバンクのパ・リーグ優勝奪還の鍵を握るバレンティン。信頼し合う青木レオナルド通訳と支え合いながら、ホークスのために戦ってくれるはずだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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