「しんこく くすりぶそく」船内から訴えも 新型肺炎41人搬送のクルーズ船 異例の足止め

「しんこく くすりぶそく」と記された日の丸=7日午後3時25分ごろ、横浜港・大黒ふ頭

 新たに41人の新型コロナウイルス感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。着岸する横浜港・大黒ふ頭には7日、救急車など約20台が集まり、医療機関への搬送が続いた。今も3千人以上が船内にとどまっており、船体には薬不足を訴える旗の掲示も。残る乗客らは白い防護服姿の関係者が出入りする様子を不安そうに見守った。

 搬送作業が始まったのは正午すぎ。シートに覆われた船の出入り口付近に救急車が次々と横付けされ、感染者を運び込んでは出発を繰り返した。日没後も作業は続き、冷たい海風が吹く中、関係者が慌ただしく駆け回った。

 船内では症状がなかったり、ウイルス検査で陽性反応が出なかったりした乗客乗員が引き続き待機し、不自由な生活を送る。客室のバルコニーで両手を上げて体操する男性や、手すり越しに励まし合う乗客の姿がみられ、船内で足止めされる異例の事態の深刻ぶりをうかがわせた。

 黒岩祐治神奈川県知事は同日の会見で「(感染者は)検査した人のうち4分の1弱。非常に高い確率」との認識を示し、「国や市町村、医療機関と連携し、冷静に対処する」と述べた。

 県は10日、県内8カ所の保健福祉事務所・センターに電話による相談窓口「帰国者・接触者相談センター」を開設、感染について全般的な相談を受け付ける専用ダイヤルの受付時間を毎日午前9時~午後9時に拡大する。

© 株式会社神奈川新聞社