F1マイアミGPへの抗議、現在も続く。地元住民はホームステッドでの開催を提案

 マイアミ市でのF1開催計画について、地元住民による抗議が続いている。最近起きた抗議行動は、スーパーボウルのフットボールの試合がハードロックスタジアムで開催されている際に行われた。レースはそのスタジアム周辺を取り巻く私道での開催が想定されている。

 スタジアムはNFLマイアミ・ドルフィンズの本拠地だが、チームは今年、スーパーボウルへの出場が叶わなかった。

 ドルフィンズのオーナーであるスティーブン・ロスと、リバティ・メディアのフォーミュラワン・グループは、アメリカで2カ所目のF1レースを開催することで基本合意に達している。

F1マイアミGPコースレイアウト案

『Reuter』は、マイアミガーデンズの住人たちはほとんどが黒人で、スタジアム周辺は労働者階級の街だとしており、住民は長きにわたってドルフィンズの組織にないがしろにされ、搾取されたとさえ感じているという。住民たちは、この地域の飽くことのない観光収入の追求のために、生活の質が犠牲になってきたと語っている。

 リバティ・メディアとF1のスポーツ担当マネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、レース開催によって4億ドル(約440億円)の経済効果が毎年地域に生み出されると述べている。しかし地元住民はいまだに納得していない。彼らは騒音と大気汚染について、より懸念を抱いているのだ。

「多少の利益はあるのかもしれないが、子供たちの健康には代えられない」とスタジアム至近にある、ノーウッド小学校長のケビン・ウイリアムズは語った。

 住民達はレース会場を、ハードロックスタジアムから46マイル(約74km)南にあるホームステッド・マイアミ・スピードウェイに移すことを提案している。

 しかしその案はリバティの計画とはまったくそりが合わない。リバティはF1を郊外ではなく、都市で開催することを望んでいる。さらにホームステッドのコースは、基本的にはNASCARレースで使用される4コーナーのオーバルコースだ。ロードコースのレイアウトもあるが、F1会場としてふさわしいコースではない。

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