2007年大学、社会人ドラフト3巡目で楽天に入団した伊志嶺氏
楽天の1軍は、2月9日まで沖縄県・久米島町の久米島野球場で1次キャンプを張っている。このキャンプのスタッフとして忙しく動いているのが伊志嶺忠氏だ。
伊志嶺氏は沖縄県立北谷高校、東京情報大時代から強打の捕手として知られ、2007年大学、社会人ドラフト3巡目で楽天に入団。11シーズン現役を務め、2018年に引退。翌2019年からチーム運営部チーム運営グループに所属し、ブルペン捕手となった。
――現役時代と、今とキャッチングに違いはありますか?
「捕手時代とブルペン捕手になってからでもキャッチングそのものは変わっていません。1球1球ボールに対してミットを流さないとか、投手にしっかりボールを見せてあげるとかを意識しています」
――投手に対して声をかけていましたが?
「特に若い投手には、気づいたことを言うようにしています。投手によっても違います。それほど言わなくてもいい投手もいますが、中にはわからせてあげたいので、結構はっきりアドバイスをすることもあります。ただ受けているだけではなくて、そういう部分も僕たちの仕事だと思っています」
――朝は涌井秀章投手の球を受けていましたが?
「涌井投手はベテランですし、細かいことは言わないようにしています。実績がありますし、自分のことはよくわかっている投手なので、言わなくても大丈夫なのかな、と思います」
「選手時代は、とにかく自分のことを第一に考えていましたが、今は…」
――ブルペンでの投球練習が終わるとどんな仕事をしていますか。
「全体の投球練習は昼過ぎに終わりますが、場合によってはそのあとも一部の投手がブルペンに入ることがあるので、そのときはボールを受けています。ブルペンに入る投手がいなければ、野手の方に行って、バッティング投手をしたりします。1日中動いていますね」
――引退しても体の手入れが必要ですね?
「実は去年、引退してからあまり体を動かさなかったんで、ちょっと太ってしまったんです。これではいけないと、今年は体を絞ってキャンプインしました」
――ブルペンキャッチャーはシーズン中もチームに帯同する仕事ですね。
「デーゲームとナイターでは少しスケジュールが違いますが、試合中は待機しています。試合終盤になって電話がかかってきて、救援投手が肩を作り始めるときには、ブルペンで受けますが、1球1球状況が変わりますから、緊張しますね。選手時代は、とにかく自分のことを第一に考えていましたが、今は選手への気遣いが1番大事です。選手のことを第一に考えて、チームのために貢献したいと思います」
地元沖縄出身だけに、ブルペンでは伊志嶺氏にも声がかかる。そうしたファンにも明るい笑顔で気さくに対応している。こうしたスタッフの頑張りが、チームを支えている。(広尾晃 / Koh Hiroo)