【MLB】“潔白”主張のアストロズ前GM、実はサイン盗みに“関与”!? 「選手主導に疑い」

サイン盗み騒動の影響でアストロズGMを解任となったジェフ・ルーノー氏【写真:Getty Images】

声明で「私は欺いていない」と主張も…サインを解読できるアプリの提案を受けていた!?

 メジャーリーグを揺るがせているアストロズのサイン盗み問題で、関与を否定していたジェフ・ルーノー前GMが実は“不正”に関わっていた可能性があると米メディアが報じた。

 米メディア「ブリーチャーレポート」は、「ウォール・ストリート・ジャーナルがサイン盗みスキャンダルにおけるアストロズの“コードブレーカー”使用を詳報」とのタイトルで記事を掲載。米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」のジャレット・ダイヤモンド記者が書いた記事の内容を紹介する形で、同GMの“関与”について伝えている。

 アストロズは、チームぐるみでサイン盗みを行っていたとして、ジェフ・ルーノー前GMとAJ・ヒンチ前監督がMLB機構から1年間の報酬なしの停職、球団には2020年と2021年のドラフト1巡目と2巡目の指名権剥奪と罰金500万ドル(約5億4860万円)という処分をMLBから科された。これを受けて、チームはルーノー前GMとヒンチ前監督を解雇。だが、ルーノー氏は直後に出した声明で、チームのGMとしての責任は認めたものの、「私は欺いていません。ルール違反があったことを把握していませんでした。コミッショナーの声明にあったように、私はこのルール違反を指示していませんし、携わっていません」と関与を否定。「このようなルール違反について知らされなかったことを大変残念に思っています。そうであれば止めていました」とも明かしていた。

 ただ、「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事はこの主張に疑いの目を向ける内容だった。

「ルーノー氏とアストロズの分析チームが関わっていたことを示す」

「ブリーチャーレポート」は「ダイヤモンド記者によると、(当時GMだった)ルーノー氏は2016年に球団のインターンから、相手捕手のサインを解読できるエクセルのアプリケーションの提案を受けた。コードブレーカーという名のプログラムは、アストロズの職員の中で『ダーク・アーツ』と呼ばれていた」と紹介。さらに「マンフレッド・コミッショナーはサイン盗みスキャンダルが『選手主導』だったと報告書に記したが、ダイヤモンド記者の記事は、そのことに疑いを生じさせ、ルーノー氏とアストロズの分析チームが関わっていたことを示す」と続けている。

 では、この「コードブレーカー」はどのような形で使われていたのか。

「ダイヤモンド記者によると、コードブレーカーは、誰かが試合を観ながら捕手のサインと投げられた球種をスプレッドシートに入力し、アルゴリズムがサインと球種の相関性を分析する。それが後に、職員がダグアウトの裏でごみ箱を叩いて打者に球種を知らせることに発展した。ダイヤモンド記者によると、コードブレーカーは敵地でも使用された」

「コードブレーカー」は大問題となったサイン盗みで大きな役割を果たし、しかも本拠地だけでなく敵地でも使用されていたというのだ。記事では、当時インターンだったデレク・ビゴア氏が現在、チームオペレーションズ部門のシニアマネージャーになっていることにも言及している。ルーノー前GMが、サイン盗みのために「コードブレーカー」を導入していたとなれば、声明には大きな疑問が生じ、新たな問題に発展する可能性もあるだけに、米メディアも疑いの目を向けている。(Full-Count編集部)

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