35歳元Gオビスポ健在 8回ピンチに登板、三振斬りでドミニカ共和国代表Vに貢献

メキシコ代表として出場し、ベストナインに選出された元オリックスのジョーイ・メネセス【写真:荒川祐史】

リノ・リベラ監督「素晴らしいチーム。勝てて嬉しい」

 中南米各国ウインターリーグの王者たちのNo.1の座を決めるカリビアンシリーズの決勝が7日(日本時間8日)、プエルトリコの首都サンファンで行われ、ドミニカ共和国代表のトロス・デル・エステがベネズエラ代表のカルデナレス・デ・ララを9-3で下し、球団史上初、同国としては20回目となるカリブの頂点に輝いた。

 6-3で迎えた8回2死一、三塁のピンチ。ドミニカは1発打たれれば同点という場面で、かつて巨人、日本ハムでプレーしたセットアッパー、ウィルフィン・オビスポ投手を投入した。前日の準決勝、プエルトリコ戦でも1回2/3を投げていた35歳右腕は、疲れを見せることなく、キューバ出身でメジャー通算29本塁打の指名打者アドニス・ガルシアから簡単に2ストライクを奪うと、内角直球で空振りを奪い、3球三振に。ピンチを切り抜けると、2度のガッツポーズの後、何度も胸を叩いてベンチに向かい、喜びを爆発させた。

 接戦を勝ち抜いての優勝だった。6チーム総当たりだった1次リーグでは、4勝のうち3勝が1点差。プエルトリコとの準決勝も1点差での勝利だった。5-4で勝利した5日のプエルトリコ戦では元中日の42歳左腕、ラウル・バルデス投手が先発した。

 現地報道によると、ドミニカ共和国のリノ・リベラ監督は「このチームはレギュラーシーズンだけでなく、全ての期間を通じて素晴らしいチームだった。才能のある選手たちがおり、逆境の乗り越え方、勝ち方を知っていた。勝てて本当に嬉しい」と話した。

 敗れたベネズエラは、30代のベテランが多い中、健闘しての準優勝だった。国内の政治情勢の影響で、MLB機構は昨年8月、マイナーも含めたMLB所属選手に対し、ベネズエラのウインターリーグへの参加禁止を決めた。同機構は同リーグのレギュラーシーズンが閉幕する約2週間前にこの決定を解除。ベネズエラ政府寄りの2チームを除く6チームに対してはMLB傘下の選手のプレーを容認したが、時、既に遅かった。

 各チームは夏場にメキシカンリーグでプレーしていたベテラン勢や、昨季まで、ベネズエラよりもレベルの劣るコロンビアのウインターリーグでプレーしていた選手たちを呼び寄せ、チームを編成した。今回、ベネズエラの4番を務めたのは元ヤクルトで昨夏、メキシコのブラボス・デ・レオンでプレーしたカルロス・リベロ内野手。同じく主軸には、かつて関西独立リーグの神戸に所属し、昨冬はコロンビアでプレーしていたオスマン・マルバル内野手が座ったが、チーム全体を見れば例年よりも戦力ダウンは否めなかった。

4強のメキシコ代表からは元オリックスのメネセスらがベストナインに

 それでも接戦を勝ち抜き、準優勝をつかんだ。また、ベネズエラに選手を奪われ、例年よりもリーグのレベルを下げる形となったコロンビアは、カリビアンシリーズでも選手層の薄さを露呈し、5戦全敗で大会を去った。

 なお、大会後ベストナインには、準決勝で敗れたメキシコ代表のトマテロス・デ・クリアカンのメンバーとして出場した元広島のラミロ・ペーニャ二塁手、元オリックスのジョーイ・メネセス一塁手も名を連ねた。

 今大会は、当初招待国として出場予定だったキューバが、米国のビザの関係(プエルトリコは米国の自治領)で大会直前に出場を取りやめ、代役としてコロンビアが出場。ドミニカ共和国、ベネズエラ、メキシコ、プエルトリコ、パナマ、コロンビアの計6カ国によって争われた。なお、来季の同大会はメキシコのマサトランで開催される予定。(Full-Count編集部)

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