甲子園V腕ハム柿木が見せた2年目の進化 最速139キロの速球に手応え「今は質を」

日本ハム・柿木蓮【写真:石川加奈子】

1回を2安打2失点も栗山監督高評価「前に進んだ部分あった」

 日本ハムの2年目右腕、柿木蓮投手が8日、沖縄・タピックスタジアム名護で行われた紅白戦に白組の3番手として登板した。1回2安打2失点の結果だったが、首脳陣が褒めた理由とは……。

 今季初めての実戦には6人の投手が登板した。試合後、栗山英樹監督が自ら個人名を挙げて評価したのは0封した投手ではなく、2失点の19歳右腕だった。「(6人とも)それぞれみんな特徴が出た部分があった。打たれたけれど、柿木も去年いろいろなことを経験しながら前に進んだ部分があった」と目を細めた。

 甲子園に4度出場して3度の全国制覇を経験したエリートもルーキーイヤーはプロの壁に苦しんだ。同期の吉田輝星投手が華々しくプロ初登板初勝利を挙げる一方、柿木はイースタン・リーグ26試合に登板して防御率8.24。加藤武治ファーム投手コーチは「力んで腕が棒になり、ボールが走らなかった」と昨季の投球を分析する。

 直球の質を高めるため、高校時代のノーワインドアップからセットポジションに変え、バランスを重視したフォームを追求。「バランス、バランスでやってきて、やっとうまく蹴れるようになってきたかなと思います。今は指のかかりを感じていて、去年よりも、いい球と悪い球が投げていて分かります」と柿木は自らの進歩を実感している。

加藤投手コーチ「あんなにいい投球ができるとはビックリ。質が良くなった」

 この日は、1軍キャンプ入りして紅組の4番に座った同期の万波から三振を奪い、渡邉を右飛に打ち取った。簡単に2死を奪った後、谷口の内野安打と高浜の2ランで失点。本塁打はスライダーを打たれたもので「真っすぐはいい球が多くて良かったです」と柿木は言う。加藤コーチも「内容的には去年の秋と比べものにならない。あんなにいいピッチングができると思わず、ビックリした。球速は甲子園の方が出ていたけど、質が良くなった」と手放しで褒めた。

 この日の最速は139キロ。実戦初戦とはいえ、高校時代の最速151キロには及ばないが「“スピードはついてきてくれたらオッケー、今は質を”と加藤コーチとやっているので」と柿木は球速にとらわれないことを決めている。

「高校の時はスピードが出ればいいと思ってやっていましたけど、プロに入って150(キロ)投げても打たれる人は打たれる。そこは何なのかと言ったらボールの質であったり、コントールであったり、そういうのが大切なんだなと分かりました」

 もがき苦しんだ1年は決して無駄ではない。甲子園優勝投手はプロ仕様へと着実に進化している。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

© 株式会社Creative2