民泊解禁から1年半 営業届け出10倍に 長崎県内10市3町で88件

民泊の営業届け出件数

 住宅に旅行者を有料で泊める民泊が全国で解禁され、1年半が過ぎた。観光庁のまとめによると、営業の届け出件数は1月9日現在、2万3368件と解禁直後の約10.6倍に増加。長崎県も10市3町で88件と約10倍に増えており、県は「適正な運営ができる施設が増えることで、観光客にとっての選択肢の一つになれば」としている。
 九州・沖縄8県の届け出件数を比べると、福岡県の1297件が最も多く、長崎県は沖縄県(1045件)、鹿児島県(107件)に次ぐ4番目。県生活衛生課によると、県内は長崎41、佐世保と対馬各10、大村7、五島5、北松小値賀4、壱岐3、島原と南島原各2、平戸、雲仙、東彼東彼杵、新上五島各1の計88件。
 住宅宿泊事業法(民泊新法)は、ホテルや旅館への配慮から営業日数を年間180日までに制限する一方、住居専用地域でも営業が可能となり、少ない設備投資で参入できるのが特徴。長崎県の場合、修学旅行生らを受け入れる「民泊」は旅館業法の簡易宿所としての許可が必要となる。これまでに全国で廃業届を出した件数は2843件(県内は7件)。通年営業できる旅館業法の許可に切り替える事業者も少なくない。
 届け出件数が増加している現状について、大和総研経済調査部の市川拓也主任研究員は「右肩上がりだったのは東京五輪・パラリンピックに向けた動きで、今がピーク」と分析。「(民泊の)延べ宿泊者数は全国的に減少傾向にあり、需要が減ってくるとビジネスとしては厳しい」と話す。その上で、自治体が民泊を推進するには「煩雑な届け出手続きの支援のほか、そもそもの目的を地方創生、観光、国際交流のどの位置付けでやるのか明確にした方がいい」と指摘する。

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