金正恩氏、新型肺炎感染で「緊急指令」か…軍に特異な動き

北朝鮮は8日、建軍節――朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の創建72周年を迎えた。一昨年の70周年に際して金正恩党委員長は、大規模な閲兵式(軍事パレード)に参加。昨年には人民武力省を訪れて演説し、軍幹部らとともに記念公演を鑑賞した。

今年はどうか。北朝鮮メディアは9日までに、建軍節と関連した金正恩氏の動静を伝えていない。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は1月24日、衛星写真の分析結果として、平壌の東南に位置する訓練場に8000人余りの兵員が集結し、建軍節の閲兵式の準備に取り組んでいるもようだと報じていた。しかしどうやら、この閲兵式も行われていない。

仮に北朝鮮が閲兵式を中止し、金正恩氏が異例にも建軍節の公開活動を自粛したのならば、その理由は新型コロナウイルスの感染による肺炎の発生を防ぐためであった可能性が高い。軍は北朝鮮において、最も飢えのひどいところであり、栄養失調がまん延している。兵士らの免疫力も弱いと思われ、この時期の大規模訓練や行事は非常にリスクが高いと言えるだろう。


防疫体制の脆弱な北朝鮮は、新型コロナウイルスが国内に侵入すれば「国家の存亡に関わる」として、感染防止に総力を挙げている。

北朝鮮は北朝鮮保健省のソン・インボム局長は2日、朝鮮中央テレビに出演し「わが国で新型コロナウイルスによる感染症は発生していない」と述べた。北朝鮮当局はその後も現在まで、国内での感染者発生を報告していない。

だが、韓国のニュースサイト、リバティ・コリア・ポスト(LKP)は5日付で、北朝鮮国内には7人の感染者がおり、軍は金正恩氏の緊急命令を受けて冬季訓練を全面中止したと報じていた。

デイリーNKジャパンは当初、この報道を補完する情報がないことから、言及を控えていた。しかし、今月初めまでに北朝鮮国内で5人が原因不明の高熱により死亡し、当局がその事実を隠蔽しているとのデイリーNK内部情報筋からの報告を受け、たとえ新型コロナウイルスの感染者が発生しても、当局はその事実を隠す可能性が高いと判断している。

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