ESG投資の沸騰ワード「RE100」から探る、最新の株式投資戦略

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近頃、環境問題に取り組む企業に投資する「ESG投資」への注目が急速に高まっています。世界規模で異常気象や森林火災、水害などが多発していること、そして環境への意識の高まりから、環境問題に貢献する企業を評価しようというトレンドが主流となってきているようです。

また、豊富な運用資金を取り扱う機関投資家へ、銘柄選定する際の基準にESGの観点を入れるように圧力が掛かっています。たとえば、環境問題に取り組むように圧力を掛けられていた770兆円余りを運用するアメリカの有力な資産運用会社のブラックロックが、気候変動問題を投資戦略の中心に位置づけたことが象徴的な出来事となりました。

こうした中で注目を浴び始めたのが、「RE100」というキーワードです。これはRenewable Energy 100%の頭文字をとった計画で、企業の事業運営に必要なエネルギーを100%、再生可能エネルギーで賄うことを目標とする取り組みです。

RE100のどのような点が注目に値し、それをベースにどのような投資戦略が描けるのか、考えてみます。


「何もしないリスク」が増大

ESG投資のトレンドは、環境に貢献する企業にとって大きな恩恵となりそうです。一方、環境問題に対して「何もしていない」企業にとっては、厳しい状況となるおそれがあります。

その理由は、投資をしてもらえなくなるだけでなく、サプライヤーリストから外される可能性も出てきているからです。また、企業だけでなく、政府への働きかけも強くなってきています。今後、環境政策が大きく変わらざるを得ない状況となることも想定されるでしょう。

RE100には世界規模の企業や各国内で影響力をもつ大企業が加盟しており、昨年末時点において世界で221の企業が名を連ねています。加盟企業は100%再エネを使った事業運営を2050年までに達成することが求められます。また、段階的期限も存在し、2020年までに30%、2030年までに60%、2040年までに90%を達成することを求めているようです。

特に注目したいのが、RE100の年次報告書を見ると、44%の企業がサプライヤーに対しても再生エネルギーを使用するように促しているというところです。加盟する企業だけでなく、そこに部品などを納める企業へも影響することから、今後注視していくべき取り組みとして認知度が向上するものと思われます。

日本は「達成困難度ランキング」で4位

日本では、このRE100に加盟できる条件が緩和されています。本来であれば年間消費電力が100ギガワット時以上の企業でないと加盟できませんが、特例として10ギガワット時に引き下げられています。

この影響もあるのか、2019年3月には17社だった加盟社数が、同年12月末時点で30社までに拡大しました。上場企業はそのうち27社となっており、日本における影響力も急拡大している状況です。

日本の企業がRE100を達成するには課題が多いようです。RE100の年次報告書によると、再エネ100%を達成するうえにおいて難易度が高いことを示した「達成困難度ランキング」で、1位の中国、2位のロシア、3位のアルゼンチンと続いて日本が4位となっています。

このことが影響するのか、日本企業における再エネ100%を達成する期限を、期限ギリギリの2050年に設定する企業が多いようです。そのため、今後取り組みを加速するように提言されていく可能性があると思われます。

再エネ調達コストは削減余地あり?

日本では、再エネ調達コストが世界水準と比べて高くなっています。日本における火力発電のコストは1キロワット時当たり約12~14円程度。原子力発電では同10円程度となっているようです。これに対して、太陽光発電コストは2017年時点で同17円となっています。

しかし、世界においては、条件の恵まれている地域では太陽光・風力ともにすでに同3~4円を実現するところも出ているようです。つまり、世界では火力発電を下回る、もしくは同等の調達コストでの発電ができるようになってきています。

このような状況下だからこそ、温暖化に悪影響を及ぼす炭素を多く排出する火力発電への視線が厳しくなりつつあります。そう考えれば、日本の再エネ普及が一段と進み、再エネ調達コストはさらに低下する可能性も高そうです。

企業においても、BCP(事業継続計画)や持続的成長の観点だけでなく、コスト削減といった観点から再エネ調達を進める企業が増加していくと考えられます。ESG投資やRE100といった環境への意識の高まりによって、今後より一層再エネの開発が促進されるとみています。

日に日に圧力が増す環境対応

RE100など環境問題に取り組む団体は、各国政府に対して環境問題に取り組むように提言しているようです。また、機関投資家にも働きかけており、日に日に影響力を増しています。また、原子力発電に対する視線も原発マネー問題が発覚したことからより厳しさを増している状況です。

このような状況下では、日本政府はエネルギー政策において、今まで以上に再エネを活用する方向に変更せざるを得なくなってくる可能性があると思われます。丸紅(証券コード:8002)は2月3日、着床式風力発電所計画の事業化を決定しました。

太陽光発電においても、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)終了後が危ぶまれていましたが、環境問題へ貢献するといった観点などから、自家消費を目的としたニーズが高まっているようです。

また、今年は暖冬で暖房のための電力消費が抑えられたことや、降雪が少なかったことによって太陽光による発電量が増えたこともあり、電力スポット価格が2割安となったようです。これらのことも再エネの影響力を増す結果となっており、今後より一層再エネに注目される流れは加速していくと予想しています。

<文:投資調査部 饗場大介>