野党の合流協議 不成立 長崎県内関係者 次期衆院選への影響懸念

3党の関係者が顔をそろえた連合長崎の新年交歓会=長崎市内

 衆院解散・総選挙をにらみ、立憲民主党が昨年12月、国民民主党や社民党などに呼び掛けた合流協議は国民、社民双方とも内部で反発、慎重論が根強く、当面見送られることになった。「桜を見る会」を巡る問題やIR汚職事件などを背景に野党の党勢拡大を狙ったが、かえって各党の政策や方向性の違いを浮き彫りにした格好で、県内の関係者からは、国会や選挙での共闘への影響や野党の求心力のさらなる低下を懸念する声も漏れる。

 合流協議がヤマ場に差しかかっていた1月7日夜、3党の支持基盤である連合長崎が長崎市内のホテルで開いた新年交歓会。3党の議員も顔をそろえ、次期衆院選への結束を確認した。だが、そうした共闘ムードとは裏腹に、会場の参加者からは冷ややかな声やぼやきが聞かれた。「合流は旧民主党(の失敗)を繰り返すだけ」「中央の立民の圧がきつい」
 立民、国民の合流協議。自公政権に対抗する大きな勢力をつくるという目的では一致したが、議論はかみ合わなかった。立民は事実上の吸収合併を主張し、国民は反発。立民は1月20日だった通常国会召集日を期限とし、それまでに国民が合流方針を決めなければ協議を打ち切ることをちらつかせた。こうした立民の強硬姿勢に、本県の国民関係者からも「話の進め方がおかしい。対等な立場になっていない」などと反発が上がった。
 結果、国民は20日の両院議員総会で早期合流の見送りを決めた。国民県連幹部の一人は「納得できるものでないと合流すべきでないと考えていた」とほっとした表情を浮かべた。
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 今回の合流協議を巡り、内部に反発、慎重論があったのは社民も同じだ。党執行部は合流に前向きだったものの、本県の関係者の間では「地方に情報が流れてこない」「協議が拙速すぎるのでは」などと不満が募っていた。社民県連は20日、長崎市内で拡大常任幹事会を開き、「現段階で賛否を決めるのは極めて困難」と結論付けた。党本部は2月の党大会で最終決定する方針だったが、全国幹事長会議での反発を受けて決定を先送りせざるを得なくなった。
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 こうした国民、社民の対応に、冷ややかな視線を向ける県内の労組関係者もいる。国民は今回の合流協議で所属国会議員が推進派、慎重派に割れ、党内対立を招いた。合流推進の立場だった立民支持労組の関係者は「合流してもしなくても、厳しい立場にあるのは国民の方だ」と吐き捨てる。社民も昨夏の参院選で辛うじて政党要件を維持したものの、次期衆院選でも苦戦が予想され、ある労組関係者は「社民は自分たちが置かれている状況が分かっているのだろうか」と突き放すように話した。
 各党が党の内外に抱える不和や危うさを浮かび上がらせた合流協議。旧民主党の失敗を繰り返さなかったとの評価の一方、決められない政治を繰り返しているとの批判など、反応はさまざまだ。次期衆院選を見据えて準備を進める本県の野党関係者からは「地方が仲たがいしたわけではない」などの見方の半面、「この状態では選挙がやりにくいかもしれない」との不安が漏れる。

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