【動画】佐世保・針尾無線塔 巨大な正三角形描く

1辺300メートルの巨大な正三角形を描く針尾無線塔=佐世保市

 3本の巨大な無線塔が、一辺300メートルの正三角形を描く。佐世保市針尾中町にある国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所(針尾送信所)施設」(通称・針尾無線塔)。太平洋戦争の開戦(1941年)を告げる暗号「ニイタカヤマノボレ1208」を送信したという説があるが、裏付ける資料は残っていない。
 市教委文化財課によると、旧日本海軍が総工費155万円(現在の約250億円)をかけて建設した。鉄筋コンクリート製で、高さは136メートル。東京から中国沿岸部、台湾付近までをカバーした。97年に役目を終えたという。

 針尾無線塔保存会の田平清男会長(77)にとって、塔は遊び場だった。度胸試しで内部の555段のはしごを登り、眺望を楽しんだ。いたずらをすると、母親から「無線塔から落とすぞ」と脅された。現在は1本の内部を見学することができ、保存会員が訪れた人を案内している。父親を戦争で亡くした田平会長は「これからも、戦争の悲惨さと平和の尊さ、無線塔の歴史的価値を伝えたい」と話した。

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