日立とベトナム金融機関、AIを活用した自動契約サービスの実証を開始

近年、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)では急速な経済発展や中間所得層の拡大などにより、個人消費への意欲が高まり、消費者金融市場の市場規模は著しく拡大している。一方で、ベトナムの金融機関で行われる事務作業は一般的に紙で運用しており、そのため書類の不備による手戻りや待ち時間の増大など、業務の効率面で多くの課題がある。また、個人ローンの取引量が増えており、消費者保護を目的として、無理な貸し出しを未然に防ぐ、より正確な与信審査が求められている。このような中、株式会社日立製作所(以下、日立)、日立のベトナム現地法人であるHitachi Asia(Vietnam)Co, Ltd.(以下、日立アジア(ベトナム))、およびベトナムの消費者金融機関であるVietCredit Finance Company(以下、ベトクレジット)の3社は、ベトナムの金融サービスの高度化に向けて相互に協力し、AIを活用した自動契約サービスの検討を開始した。自動契約サービスの実現により、手書き書類のデータ化や記載不備の確認などの事務サービスの効率化・品質向上が期待できる。利用者は、タブレット端末の通話機能を用いてオペレーターのガイダンスに従って手軽に入力・申請できるため、手書きによる煩雑な書類作成が不要となるなど、利便性の向上・時間短縮も図る。持ち運び可能なタブレット端末を活用することで、店舗内での活用だけでなく、渉外員の訪問契約時に利用できる。また、バックエンドのローン審査では、日本国内の金融機関で住宅ローン審査の実績がある日立独自の人工知能「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case(以下、AT/PRC)」を活用して、スコアリングを行う。データに基づく精緻な審査ができ、担当者の経験値への依存を軽減し、さらなる精度向上や審査時間の短縮など効率向上を目指す。3社は、同サービスの提供に向けて実証実験を開始する。同実証実験では、ベトクレジットの一部店舗に汎用のタブレット端末を活用した自動契約システムを導入し、手軽に個人ローンの申込み受付・契約を可能にするサービスの実証と、稀な事象の発生を予測できる日立のAI「AT/PRC」を使ってスコアリングを行い、ローン審査に活用する実証を行う。同実証を通じて、ローンの申込み受付から契約締結までの期間短縮など、顧客の利便性を向上する新たな金融サービスの実現に向け、課題抽出や効果検証を行う。将来的には、自動契約サービスとAIによるローン審査サービスを組み合わせ、申込み受付から本人確認、審査、契約までの一連の事務を電子化するサービスの実現をめざすとした。

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