「海老蔵」最後の金沢 歌劇座で「勧進帳」を披露

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 「市川海老蔵特別公演」(北國新聞社、一般財団法人石川県芸術文化協会主催)は10日、金沢歌劇座で昼夜2公演が行われた。市川團十郎白猿(はくえん)の襲名を控えた海老蔵さんの「勧進帳」に会場は昼夜とも大入りとなり、3800人が当代きっての花形役者の熱演に喝采を送った。

 山伏姿の武蔵坊弁慶にふんした海老蔵さんが舞台に登場すると、客席の隅々までの視線をくぎ付けに。小松の安宅の関で繰り広げられる「智仁勇」の物語に観客を引き込んだ。

 白紙の巻物を勧進帳と言って朗々と読み上げ、よどみのない山伏問答に続き、関守の疑念を晴らそうと金(こん)剛杖(ごうづえ)で主君の義経を打つ。引っ込みの「飛び六方」まで次々と繰り出される名場面に、客席からは何度も拍手が巻き起こった。

 市川右團次さんは、源義経一行と知りながらも、主君を思う弁慶に心打たれて通過を許す関守の富樫をりりしく務めた。義経は中村児太郎さんが演じ、能を舞踊化した「羽衣」では天女を上品に舞った。

 5月に團十郎となる海老蔵さんは「海老蔵としては最後の金沢公演をご一緒できることを幸せに思う」とあいさつ。観客からの質問コーナーでは、名前が変わる理由を子どもから聞かれ「縁起を担ぐ意味もある」と紹介した。

 市川海老蔵特別公演は8日から小松、金沢で計5公演が行われた。