【卓球】オリンピックチームランキング(2月発表)|東京五輪団体戦の熾烈なシード争い

写真:東京五輪での第2シード獲得に向け戦う水谷隼(木下グループ)/提供:ittfworld

1月28日~2月2日にかけて、ドイツオープンが開催された。男女ともに東京五輪代表候補選手をはじめとする多くの日本選手が参加し、シングルスで水谷隼(木下グループ)と伊藤美誠(スターツ)がベスト8、ダブルスで平野美宇(日本生命)/石川佳純(全農)ペアと水谷隼/伊藤美誠ペアが準優勝を飾った。

団体戦のシード権を決めるのは「オリンピックチームランキング」

2020年1月6日、男女それぞれの日本代表監督より東京五輪代表候補選手が正式に発表され、長く過酷だった五輪代表選考レースが幕を閉じた。

しかし、選手たちに休む間もなくすぐに次の戦いが始まる。そこに待ち受けるのは、団体戦でのシード権争いだ。

東京五輪で日本の最大の敵となるのは男女ともに中国であることは間違いない。

中国と団体戦で対戦することを考えたときに、重要な要素がシード権だ。五輪団体戦のシード権はITTF(国際卓球連盟)が定める「オリンピックチームランキング」をもとに決定される。

2020年2月発表のオリンピックチームランキングでは、日本男子団体が3位、女子団体が2位である(1位は男女ともに中国)。このままいくと女子は第2シードを獲得し、中国とは決勝まであたらない組み合わせとなるが、男子は準決勝で中国と対戦する可能性が残る。

ではこのオリンピックチームランキングは、どのように算出されるのだろうか?

その算出方法を具体的に確認してみよう。

算出方法

写真:エースとしての活躍が期待される張本智和(木下グループ)/提供:ittfworld

オリンピックチームランキングは、国ごとの過去の対戦成績で計算されるわけではなく、そのメンバーで五輪の団体戦を戦ったらどうなるかを一定の規則に基づいたオーダーでシミュレーションして、試合結果を全チーム総当たりで計算し、その勝敗で決められる。現状、各国の五輪代表が決定していないため、個人の世界ランキングの上位3人をチームとしてシミュレーションされる。

算出に使われるのは、個人のだ。

1. 各国のオリンピック個人ランキング(=世界ランキング)上位3選手を選出
2. 上位3選手でオリンピックを戦うこと仮定し、団体戦のシミュレーションを行う
3. 試合結果は、ランキング上位選手が勝利するものとする
4. 上記のシミュレーションの結果、勝利したチームがランキング上位となる

わかりやすく実際のランキングをもとに考えてみよう。

写真:これまで何度も日本の前に立ちはだかってきたティモ・ボル(ドイツ)/提供:ittfworld

仮に、男子日本代表とドイツ代表のランキング付けを行うとする。

まずはじめに、両チームの世界ランキング上位3選手を確認する。

日本は張本智和(2月世界ランキング5位)、丹羽孝希(同12位)、水谷隼(同15位)。ドイツはドミトリ・オフチャロフ(同10位)、ティモ・ボル(同11位)、パトリック・フランチスカ(同14位)。この6選手が五輪団体戦を戦うと仮定し、オーダーを組む。

オーダーは、どちらのチームも一番強い選手がシングルス2点使いで、2番目と3番目の選手がダブルスを組み、3番目の選手同士が必ず対戦する組み合わせだ。

日本とドイツの場合、以下のような試合オーダーとなり、この仮想オーダーで試合をシミュレーションすると試合結果は日本2-3ドイツとなり、ランキングはドイツが日本より上位となる。

⓵丹羽/水谷 – 〇ボル/フランチスカ
⓶〇張本 – オフチャロフ
➂水谷 – 〇フランチスカ
⓸〇張本 – ボル
⓹丹羽 – 〇オフチャロフ

※ダブルスの勝敗は、2選手が個人で保有するポイントを合算したものを使用して判定される。日本ペアは、丹羽:9,570、水谷:9,270の合計:18,840、ドイツペアは、 ボル:10,910、フランチスカ:9,455の合計:20,365のため、ドイツペアの勝利となる。(ポイントは2020年2月時点のもの)

この仮定を全ての国に対して適用し、勝利チーム順に並べたものがオリンピックランキングとなる。

2月時点でのランキングは?

2020年2月のチームランキングはこちら。

男子トップ5

1(1) 中国 286
2(2) ドイツ 284
3(3) 日本 282
4(4) 韓国 280
5(6) スウェーデン 278

女子トップ5

1(1) 中国 250
2(2) 日本 248
3(4) ドイツ 246
4(3) 中国香港 244
5(5) チャイニーズタイペイ 242

※国名右の数字はランキングポイント、順位右の()内は先月のオリンピックチームランキング

日本男子の前に立ちはだかるドイツチーム

写真:伊藤美誠(スターツ)、東京五輪で中国越えなるか/提供:ittfworld

日本男子は東京五輪で第2シードを獲得するために、7月に発表されるオリンピックチームランキングで2位になる必要がある。両チームの張本以外の5人は個人の世界ランキングは近い位置にあり、これからの大会の成績次第でランキングの変動は十分にあり得る。

日本女子は、ランキング1位の中国、3位のドイツとも大きな差があり、このままランキング2位を維持しながら東京五輪を迎える可能性が高そうだ。

東京五輪悲願のメダル獲得に向け、選手たちのこれからの戦いからも目が離せない。

文:ラリーズ編集部

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