『1917 命をかけた伝令』 戦争映画をワンカットでって、どういうこと!?

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 1999年、デビュー作にしてアカデミー監督賞を受賞した映画『アメリカン・ビューティー』、そして『007 スカイフォール』で知られる巨匠サム・メンデスの最新作。第1次世界大戦を舞台にイギリス軍の若年兵が、兄を含めた仲間1600人の命を助けるため、特別な命令を手に敵陣の中に突っ込んで駆け抜けていきます。危険だらけの戦場を駆け抜ける彼らの背中を追いかけるのは一台のカメラ。

 なんとこの映画、信じられないかもしれませんが、約2時間ぶっ続けワンカットで撮影されているのです! これまでも、ワンカットで撮影された作品はたくさんありました。カメラを一回も止めることなく、ワンカットで回し続けるってとんでもないこと。一体どうやったらこんなことができるのか。これはもう、カメラマンがただひたすらにすごすぎる! 実はこの映画、映画の全編がワンカットで撮影されたわけではなく、ワンカットで撮影した各シーンを一寸のズレもなくつなぎ合わせているもの。つまりワンカットよりずっと大変な作業を基に作られているのです。

 撮影監督は、多くのコーエン兄弟の監督作品を手がけてきたロジャー・ディーキンス。カメラのタイミングとスピードに合わせながら、役者のセリフが完璧でなければワンカットは成功しない。一編の映画になった時、完璧に場面が繋がっているためには、スタッフと役者、全員の呼吸が合わなければいけなかったはず。人が簡単に死んでしまう極限状態の中を小柄な兵士が塹壕を走り抜けていく緊張感と、恐ろしいほどの臨場感と恐怖は、戦争なんて絶対に起こしてはいけないということを体で感じさせます。大きなスクリーンで没入して観てこそ、気迫を感じることができるでしょう。★★★★★(森田真帆)

監督:サム・メンデス

出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン

2月14日(金)から全国公開

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