西武V2の秘訣は“魔の大階段”にあり? ビル10階分に松坂も侍J稲葉監督もビビる

“魔の大階段”を降りる西武・松坂大輔【写真:宮脇広久】

西武キャンプ地・南郷中央公園の階段は135段、高低差30メートル、ビル10階分

 記者が実際に足を使って確認してみると、メーン球場から室内練習場まで降りるのに74段、さらに室内練習場からサブグラウンドまで降りるのに61段、計135段あった。西武のキャンプ地、南郷中央公園(宮崎県日南市南郷町)名物の“魔の大階段”のことである。

 同公園の指定管理者である有限会社イキスポーツ建設の森利美代表取締役によると、高低差約30メートル、ビル10階分にも相当するとか。

 下りはまだしも、サブグラウンドからメーン球場まで一気に上らなければならない時は、まさに地獄だ。14年ぶりにチームに復帰した松坂大輔投手はキャンプ初日、「最初に降りていく時に、長いなと思いました。帰りに上っていく自分の姿をイメージできなかったので」と、キャンプ期間を通して“上り”には球団の車を利用するようになった。

 9日にスーツ姿で視察に訪れた、47歳の侍ジャパン・稲葉篤紀監督は、室内練習場からメーン球場へ上る途中で思わず立ち止まり、「キツイ……西武が夏場以降に強いワケがわかったよ」とうめいた。

 普段、一緒に階段を上りながら、取材する記者も、質問に答える選手も、息も絶え絶え。お互いに声が出なくなるなんてことも、頻繁に起こる。

 潮崎哲也球団編成グループディレクターは「俺が2軍コーチだった時(2007年)には、あの階段の駆け上りをやらせたんだけどな。俺の現役時代の背番号にちなんで16本とかね。ただし、春のキャンプでケガをするとシーズンに影響するから、秋季キャンプだけね。最近はやらせてないみたいだね」と振り返るのだから、恐ろしい。

 入団4年目で21歳の今井達也投手は「駆け上がりは、やったことないです。歩いて上るのもキツイんで、想像できないですね」と首をすくめる。

 キャンプ期間中だけではない。西武は本拠地メットライフドームでも毎試合終了後、グラウンドレベルからロッカールームへ、長い階段を上らなければならない。稲葉監督が指摘したように、西武が昨季、首位に8.5ゲーム差をつけられながら、8月以降の怒涛の“まくり”で逆転2連覇を果たした秘密はここにあるのかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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