WEC:『SCG 007』価格は約2億4000万円。ル・マン目指すグリッケンハウスが一部諸元発表

 今年9月に開幕する2020/2021年シーズンからWEC世界耐久選手権への参戦を予定しているスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)は2月11日、現在開発が進められているLMHル・マン・ハイパーカーマシン『SCG 007』の一部諸元を明らかにした。

 SCGは映画監督でカーコレクターでもあるジェームズ・グリッケンハウスが創業したアメリカの自動車メーカーだ。
 
 独自開発のワンオフモデル『SCG 003C』などでのニュルブルクリンク24時間レース参戦がよく知られているが、近年はWECの2020/21年シーズンから導入されるLMHクラスに参入し、ル・マン24時間での優勝を目指す活動が行われているほか、FIA-GT3カーやロードカーの製造にも着手している。
 
 そんなSCGは、すでに新型マシンでの2020/21年シーズン参戦を表明しているトヨタ、アストンマーティン、バイコレス・レーシングチームと対峙する第4のハイパーカーメーカーとして名乗りを上げており、これまでもシリーズに投入予定の新型マシンのイメージを複数回に渡って公開してきた。

 今回の発表では、ふたたびSCG 007のレンダリングが披露され車両諸元の一部も明らかになった。その内容によれば、同車は2020/21年のLMH規定の対象モデルであるとされ、車両重量は1100kgとなっている。
 
 搭載エンジンはグリッケンハウス用に開発されたもので、30時間連続して840hp(約851ps)を発揮することが可能だという。エンジン型式は3リットルV6ツインターボとこれまでのアナウンスから相違ない。なお、LMH規定でのエンジン最高出力は750hp(約760ps)であり、出力面で余裕が持たされていることが分かる。

 車両価格を200万ユーロ(約2億4000万円)としたSCGはこの新型マシンを白紙の状態からデザインし、その過程でポディウム・アドバンスド・テクノロジーズと提携。その後は協力体制の下でニューマシンの設計を行ってきた。

 プロセスは順調に進み、すでに予備的な風洞解析は完了済み。今月からは大規模な風洞テストが開始される予定で、6月を目処に開発を終わらせ7月にはサブシステムの組み立て、8月に車両の組み立てとシェイクダウンが行われるという。

 また、アメリカンメーカーは今発表に合わせてチームの主要スタッフを明らかにしている。メンバーと役職は以下のとおりだ。

スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス チーム体制

・創設者兼なんでも屋:ジェームス・グリッケンハウス
・チームプリンシパル:ルカ・チャンセッティ
・チームマネージャー:マッテオ・カヴェドーニ
・プロジェクトチーフエンジニア:マーク・テイタム
・エンジンインストールチームリーダー:クリス・ホーンビー
・シャシーチームリーダー:ベリー・ハービー
・サスペンション/ステアリング/ブレーキチームリーダー:ミック・リンドリー
・エレクトロニクスデザインチームリーダー:マッシミリアーノ・トルコ
・エンジン・アンド・コントロールチームリーダー:イゴール・ザネッティ
・創設者兼マネージングディレクター:ジェシー・グリッケンハウス

3.0リットルV6ツインターボエンジンを搭載するSCG 007
SCG 007のサイドビュー。タイヤは単独サプライヤーのミシュラン製レーシングタイヤを装着する。
SCG 007のリヤビュー。前回公開された画像からエンジンフード部のルーバーとリヤフェンダー後部のダクトが姿を消している。

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