新時代の「ファントークン」!PSGとアトレティコは“コレ”をやる

サッカーとは理不尽な競技である。

ファンが声を枯らすまで応援しても、必ずチームが勝利してくれるわけではない。それでもファンが応援を止めないのは、少しでもチームの背中を押したいからであろう。

応援の力を過小評価することはできない。アディショナルタイムに入って同点、あるいは逆転劇という“特別な体験”をしたことのある人も少なくないはずだ。

ファンの数が多ければ、もちろんその力は大きくなる。一方、ファンの数が少なくとも応援の質が高いということもある。

「ファントークン」は、そんな応援を数値化する一つの目安といえる。

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ファン・トークンについては前回Qolyでご紹介したが、ここで改めておさらいしておこう。

ファントークンとは、キャッシュレス決済などに使われているデジタル資産の一種である。

ただしキャッシュレス決済のように、物を買ったり売ったりする機能は無い。代わりにチームごとに提案される投票に参加したり、限定グッズやチケットを獲得したり出来る。

なおファントークンは、仮想通貨に使われているブロックチェーンという技術を使用している。

第2回目となる今回は、前回の記事で紹介したユヴェントスについての結果発表と、現在PSGとアトレティコ・マドリーが実施している投票についてお届けしよう。

“世界初”の投票結果は?

2019年12月、イタリアの名門ユヴェントスは世界で初となるブロックチェーン投票を実施した。

この投票で決められたのは、新しいゴールチャントに関するもの。ホーム主催の試合でユヴェントスの選手がゴールした際、スタジアムに流される音楽のことだ。

そして投票の結果、決まったのがこの曲だ。

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Blur – Song 2 – 33.65%
P.O.D – Boom – 23.06%
House of Pain – Jump Around – 21.81%
Blink 182 – All The Small Things – 21.48%

この投票では以上4つが候補として選ばれていたが、ご覧のようにBlurのSong2が33.65%の票を集め、ユヴェントスの新ゴールチャントとなった。

公約通りユヴェントスは、2020年1月6日の対カリアリ戦からBlurのSong2をゴールチャントとして使用している。

ファン投票で選ばれたゴールチャントは今後、ユヴェントスホーム戦の楽しみ方のひとつとなるはずだ。

花の都のスター軍団は

近年、外国資本の流入によりフランスサッカー界を完全に支配しているPSG。クラブは毎年世界的な選手を招き入れており、現在もネイマール、エムバペ、カバーニ、イカルディといったスターが揃っている。

そんな彼らの第一回投票は、キャプテンが腕に巻くアームバンド…いわゆるキャプテンマークに載せるメッセージについてだ。

本来キャプテンマークには、チームのキャプテンを示すという記号的な意味しかない。

時折、“NO TO RACISM(人種差別反対)”などのメッセージが載せられることもあるが、基本的にはただ「CAPTAIN」あるいは「C」と書かれているだけだ。

だがキャプテンマークに託された思いは計り知れない。

現チームの顔というだけではなく、歴代キャプテンの意志を引き継ぐという意味も含まれている。今回の投票により、さらにファンの魂も積み上げられることとなるだろう。

今回の投票で出された候補は3つ。

1) 50 years, 40 trophies, only 1 passion. (訳:50年。トロフィー40個。情熱はいつでもひとつ。)
2) Ici c’est Paris.(訳:ここがパリだ。)
3) Our history will become legendary.(訳:私たちの歴史は伝説となる。)

メッセージからはどれも強い意志が感じられる。

この投票は、バインディングと呼ばれる投票形式である。この投票形式では、クラブが投票結果を必ず遵守すると約束しており、選ばれた候補は必ずキャプテンマークに刻まれるはずだ。

なお、投票への影響力を強めたい人はファントークンを買い増すも可能だ。

ただし買い増しによる影響力アップは、200枚分までと上限が設定されている。あるいは他のファンを説得することでも総合的な影響力を高めることも出来るだろう。

PSGが実施するキャプテンマークの刺繍投票は25日までである。

アトレティコ・マドリーは○○○の管理人!

ディエゴ・シメオネ監督が就任して以来、“闘う男たちの集団”としてレアル・マドリー、バルセロナと肩を並べるような存在となっているアトレティコ・マドリー。

そんな彼らも現在、このブロックチェーン投票を用いて第一回の投票を実施している。

それが「クラブが管理しているInstagramの公式アカウント」「特定の選手」「1日管理人」として指名するいうもの。

今日において、人々の欠かせないツールとなっているSNS。プロサッカー選手とて例外ではない。

試合の中で選手たちの思考をファンが読み取ることはできないが、SNSでは選手や選手の周囲がどのような気持ちで試合や日々のトレーニングに臨んでいるのかを垣間見ることができる。

普段見ることのできない選手の日常に触れられることも、ファンにとって“特別な体験”のひとつ。1日管理人となれば、これまでのInstagramとは異なる使い方をしてくれるという期待も高まる。

そこで、「1日管理人」の候補に挙がったのは以下の4人だ。

アルバロ・モラタ(約1100万人)
コケ(約200万人)
レナン・ロディ(約18万人)
トーマス・パーティ(約33万人)

※後ろの数字はフォロワー数

ユヴェントスやPSGのと異なり、アトレティコ・マドリーの投票は、選手個人の知名度や人気に左右される可能性がある。

単純なフォロワー数だけで評価するのであれば、最もフォロワー数の多いモラタが有利だろう。だが投票期間に目覚ましい活躍をすれば、どの選手も投票数を大きく伸ばすチャンスになるはずだ。

候補に挙がった4人は、いずれもInstagramの公認アカウントを持っている。特別ゲストとして他の選手やスタッフが登場するかどうかも期待したいポイントだ。

なおこちらもバインディング投票でキャップは200となっている。ただし投票期限はPSGよりも早い本日12日までとなっている。

また13日、20日にはまた異なるテーマでの投票が予定されている。

一定期間は定額で販売

最後に、販売開始直後のファントークンは、2ユーロなどの定額で販売される。しかし一定期間を過ぎると、需要と供給によって価格が変動する予定だ。

将来的に大きく価格が上下することも考えられる。ファントークンを購入する前に十分に考慮しよう。

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