映画『パラサイト 半地下の家族』より
韓国映画『パラサイト』がアカデミー賞4冠に輝き、新型コロナウイルスと関連して暗いニュースが続く韓国は、久々に明るいムードに沸いている。
一方、アカデミー賞に便乗しようとして、国民からはいささか冷ややかな視線を浴びている政治家もいる。
「ポン・ジュノ映画文化ストリートを建設し、観光産業を盛り上げよう」
今年4月行われる国会議員選挙で、同作のポン・ジュノ監督の出身地である大邱から出馬を宣言した、保守党・自由韓国党のぺ・ヨンシク候補の公約だ。
ぺ候補はさらにポン監督の生家の復元や、同作の俳優らの銅像を建てることも提案している。
ポン監督と同郷の韓国党のカン・ヒョサン議員は「大邱出身のポン監督は同地の誇り。私の地元の隣町の学校に同じ時代に通っていた」とし、同市内にポン・ジュノ映画博物館や映画のテーマパークを建設しようと、議会で提案した。
こういった提案に韓国内メディアや世論は批判的である。
というのは、ポン監督、そして主演のソン・ガンホは、左派的だという理由で、かつての保守政権でブラックリストに記載され、圧力を受けていたからだ。
また、韓国党内では『パラサイト』について、「体制転覆の内容が含まれた典型的な左派映画」などと、批判的な立場を示してきた政治家が少なくない。
圧力をかけていた側が、ここに来て便乗となれば、世論の同意を得られないどころか、逆効果になる可能性もある。(文◎李ソヨン)