私たちのライフスタイルはこれ。 自信がなかった私を変えてくれたYouTubeでレズビアンカップルとして発信し続ける理由!

現在、「エルビアンTV」というYouTubeチャンネルを開設し、同棲するレズビアンカップルのライフスタイルを発信するUさん。恋人のれーやんさんと共に、日々起こるレズビアンあるあるや二人の生活などが反響を呼び、登録者数は65000人以上に。
そんなラブラブな生活を送るUさんの現在に至るまでとYouTubeを通して伝えたいメッセージ。そして、描いている未来についてうかがった。

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――「今はフルオープンで付き合っています」。力強いその言葉に二人が街で歩く姿さえ想像できるだろう。YouTubeでも彼女の持ち前の明るさは、観ている人を魅了している。しかし、何もUさんが生まれてからずっと、前向きに突っ走ってきたわけではない。誰もが抱いたかのように、悩み、考え続けた時期が確かにあった。

私が自分がレズビアンだと気が付き始めたのは高校生の頃でした。
だけど、当時は女性へのその思いが、憧れから来るものなのか、恋愛として好きなものなのか、あまり区別がついていませんでした。
学生時代の集団行動において、流行りのドラマを観るような感覚で共通の話題が必要でした。それが、私の身の回りの場合、男性との恋愛話だったんです。そんな空気に泳がされて、私は男性とお付き合いをしていました。
今思うと、高校一年生の時に抱いていたあの感情は、レズビアンとして初めて女性に対して感じた、「恋」だったと思います。その恋は、想いを伝えることなく、失恋という形で終わってしまったのですが…。

私はセクシュアリティの自認に時間がかかった方で、閉鎖的な地方の生活が染みついていたせいか、自分自身でもどうしても女性が好きということを認めることができませんでした。男性と付き合っていたら、女性に対するこの気持ちがなくなるんじゃないか。そう、思って付き合っていた男性もいたくらいです。

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――学生時代に抱いた淡い芽吹きに気がつくことなく枯らせてしまったUさん。それからも幾度か生まれた恋心にも、そっと蓋をし続けます。しかし、大学進学で上京したことがきっかけで視野が広がったUさんは、後悔したくない人生を選び始めました。

自分の本心を隠す生き方を少しずつ変えてくれたのは、大学進学で上京した都会の生活でした。
地方では、髪の色を明るくして派手で奇抜な服装をしていると、いわゆる不良やヤンキーというレッテルを貼られるけれど、東京という街では個性がオシャレに変わる。男性がスカートを穿いていたり、女性がカッコいいスーツを着こなしていたりしても、偏見という目で見られないんです。
大学で会う人たちもアイデンティティを確立している人たちや、自分らしさを持っている人たちが多く、必要以上に他人には干渉してきませんでした。その関係性が、私にとってすごく良い距離感だったんですよね。

少しずつ都会の価値観が染みついてきて、目と心が慣れて、誰に何を言われたわけでないけれど、生まれていた固定概念が緩和されていきました。だったら私も。自分らしくいたい、自分の欲望を抑えて後悔した人生を送りたくない。女性を好きだということがひとつの個性なのかなと思えるようになっていました。
そして、22歳の時、初めて女性と付き合うことができました。

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――自分らしく、女性を愛することを決めたUさんでしたが、都会と地元との価値観の違いが彼女につきまといました。好きな人といるだけでも、そこには目に見えない壁があり彼女との間を遮っていました。

女性と付き合い始めてみたものの、まるで中学生がデートするように、人の目を気にしてばかりでした。
彼女と歩く距離、一緒に座る距離、街に出てはそればかりを気にしていました。
実際、東京は人のことなんかそんなに気にしていないって、頭では分かっているのに。まだまだ自分の中に、女性とお付き合いしているということに恥ずかしさやわだかまりがあったんだと思います。なんだか、悪いことをしているかのようなそんな思いも正直ありました。

その時期は、地元に帰省すると早い子はすでに結婚して家庭を築いていたり、親からは「いい相手はいるの?」「結婚はいつ頃するの?」なんて言われることもあって都会での慣れと、地方の価値観との狭間にいたんだと思います。そのせいか帰省をしてもすぐに東京に戻ってしまっていたり、あまり地元にいる時間が心地良いとは思えていませんでした。

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――いくつかの恋愛を経たUさんは、れーやんさんと出逢います。彼女との出会いが、Uさんを強くし、生活を変えていきました。そして彼女を取り巻く周りの環境も次第に変化していったそうです。

れーやんと付き合いはじめてから本当にすべてのことが変わりました。まず、親へのカミングアウトがその一歩でした。
なぜカミングアウトをしようと思ったかと言うと、生まれて初めて、この先ずっと一緒に居たいと思った相手で、そんな人と生活していることを親に伝えなければいけないと思ったんです。親へのカミングアウトは一昨年の12月でした。「後悔しないように生きたらいい。自分に自信を持ちなさい」そう言われました。

優しく背中を押してもらったおかげで、どこか後ろめたさをもって帰省していた実家も、今は居心地が良い場所になりました。帰省すると一週間も長居してしまったりするんですよ(笑)。結婚や男性の話もしなくなった代わりに、彼女の話をしたりするようになっていて、自分だけじゃなくて、親も少しずつ変わってきてくれているんだなって思っています。

それから、YouTubeのチャンネルを開設したことで生活が大きく変わりました。
これは、様々な思いがあって始めたんですけど、ひとつはYouTubeで「レズビアン」って検索した時にアダルトコンテンツが多く表示されていて、それが嫌で塗り替えたいって思ったんです。男性が性的に思い描いている妄想と同じ名前でセクシュアリティをカテゴライズされることが嫌だったんです。

もうひとつは、レズビアンカップルのロールモデルになりたいと思ったことです。私たちがチャンネル開設した時、単独でのレズビアンチャンネルはあったのですがカップルでやっている人がいなかったんです。男女のカップルは全国どこの街にも分かりやすくいるから、どのような生活をしているのかとか、どこにデートに行っているのかとか、想像しやすいと思うんですよ。だけど、それが同性になった途端、ロールモデルが存在しないんですよね。だから、どう生活しているのか、どうデートしているのか、何をして良いのか、っていうのが当事者は想像できないんです。
自分がレズビアンだって自認したとして、その先にどういうライフスタイルがあるのか分からないと、不安ですよね。なので、私たちが生活しているそのままを、デートしている姿だったり、記念日を祝ったり、ちょっかいを出し合っている姿だったり、そういう当たり前を届けたいって思ったんです。

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――YouTubeチャンネル「エルビアンTV」を開設したことで、生まれた新しい時代のコミュニケーション。ネット世界だけではなく彼女自身の生活にも大きな変化が起きていった。

動画を投稿していると、たくさんの方からコメントやメッセージをいただいたりするんです。
その中には、自分たちの動画が誰かの役に立てたと分かるコメントだったり、たくさんのセクシュアルマイノリティの仲間の方たちがいるんだって気がつかされたりするのですが、ありがたいことに、それが自信にどんどんつながっていくんですよね。自分らしくて良いんだって。逆に勇気づけられると言うか。そのせいか、気がつけば街中でもフルオープンで付き合っていられるようになっていました(笑)。

今後は、こういったロールモデルがどんどん出てきて男女のカップルのようにいろんなカップル像が当たり前に描けるようになったら良いなって思っています。好きな色を選ぶとき、「青が好き」「赤が好き」っていろんな人がいろんな色を好きって言うように、恋愛の対象が人それぞれであることが当たり前に言えるようになるようになることが目標なんです。

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――様々な要因で、強く、自信を持ち女性を愛することができるようになったUさん。YouTuberとして、過去悩んでいた自分自身と、現在悩んでいる学生たちに送りたいメッセージとは?

世の中の理解は少しずつ進んでいるから、セクシュアルマイノリティだからと言ってのけ者にされたりすることがだいぶ和らいできたと思う。だけれど、特に学生時代にいじめにあったり仲間はずれにされたりする可能性があるのならば、カミングアウトは無理にしなくても良いと思う。
そんな狭い世界は、学生の時だけだから。必ず道は開ける。今はたくさん悩んでいたとしても、その時間はいつか自分の味方になってくれると信じてほしい。実際私は、学生時代にめちゃくちゃ悩んで、うすうす自分で気がついていたけれど、このインタビューで話したように目を逸らし続けたの。

今は、YouTubeやネットで、私たちみたいにライフスタイルを発信している人がたくさんいる時代だから、他の人の生き方を少しだけ覗いてみてほしい。
それを自分にまるごと当てはめなくても良いから、いろんな人がいるっていうことを知ってほしい。知ることができたら、焦らずに、今を自分のライフスタイルを作り上げるまでの準備期間だと思って機を待ってほしい。あなたらしく生きてほしい。そのお手伝いができるように、私たちはありのままの自分たちを発信し続けて、応援しています。

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U/エルビアンTV
パートナーのれーやんさんと共にYouTubeチャンネル「エルビアンTV」を開設。世の中のレズビアンに対するイメージを変えるために、レズビアンカップルの日常やライフスタイルなどを発信。また自身のチャンネル以外にも他のLGBTQカップルやYouTuberとのコラボも多数配信。

☞ YouTube「エルビアンTV」
☞ Twitter @lbiantv_uyan

取材・撮影/新井雄大 Twitter@you591105

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