神戸空港の旅客数、過去最多329万人 規制緩和で追い風

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 開港14年目に当たる2019年(1~12月)の神戸空港の旅客数は、民営化前と比較できる神戸市の集計で、過去最多の329万6千人(乳幼児を含まない)だった。開港以来初めて実現した規制緩和で発着枠が広がり、新たな路線の開設や増便が相次いだことが全体を押し上げた。

 06年2月の開港から1日60便の発着枠でスタートし、07年に296万人を記録。リーマン・ショックを挟んで伸び悩んだが、その後の景気拡大による航空需要の増大で、17年に304万人、18年に311万人と最多を更新してきた。

 19年は、発着枠を1日80便に増やす「関西3空港懇談会」の決定を受け、フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)が新たに乗り入れたほか、スカイマークが増便した。

 FDAが開設した松本(長野県)、高知、出雲(島根県)の3路線の搭乗率はそれぞれ81%、57%、36%だった。松本線は、信州と関西圏を通年で結ぶ唯一の路線となり、松本側の関係者の利用が多いという。運賃の一部(往復で3千円)を助成するなど、信州の地元自治体の取り組みも利用を底上げした。

 一方で高知は大阪(伊丹)空港との間で1日12便(6往復)、関西空港との間で週8便(4往復)飛んでいるほか、出雲-大阪線も1日8便(4往復)あり、新路線定着には松本と比べて時間を要しそうだ。

 スカイマークが増便した4路線のうち、茨城が前年比19%増と旅客数の伸び率が最も大きく、長崎(8%増)、那覇(6%増)、鹿児島(4%増)が続いた。茨城空港がある北関東エリアは多くの人口や工場を擁し、関西3空港では神戸のみが路線を持つ。8月、それまでの朝晩に昼の便を加えて1日計3往復とし、10月末以降の冬ダイヤでも維持した。

 関西エアポートの事業計画によると、神戸空港の旅客数(乳幼児を含む)は19年度に348万人を見込み、20年度に376万人を計画している。

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 定期便以外の利用状況については、国際ビジネスジェットの受け入れが19年に15機で、前年に比べて1機減った。国際チャーター便の運航はなかった。

 18年4~12月の欠航は200回で、大半が台風シーズンの8~10月に起きた。行き先を変更した航空便の受け入れは3回だった。(長尾亮太)

■神戸空港アクセス 鉄道、船、バスいずれも好調■

 神戸空港の旅客数が3年連続で過去最多を更新したのに伴い、2019年度は空港へのアクセス利用も、現時点で好調に推移している。

 三宮-空港間を運行するポートライナーは、神戸空港駅の1日当たりの平均乗降客数(19年4~9月)が7421人と、前年同期の7311人から1.5%増えた。

 乗用車で訪れる人の空港駐車場の利用台数(19年4~12月)は28万1370台と、前年同期を8.8%上回った。関西エアポートの担当者は「運用規制の緩和で発着枠が広がり、旅客数が増えたため」とみる。

 神戸、関西の2空港を海路で結ぶ「神戸-関空ベイ・シャトル」の乗船客数(19年4~12月)は30万5766人と、前年同期から6.1%伸びた。関空の旅客数が外国人を中心に増えているためで、乗船客全体に占める外国人の割合は16%に上った。「9月以降は日韓関係の悪化による韓国人客の落ち込みを、中国人客の増加が補った」と、運航会社の担当者は話す。

 神戸空港では民営化を契機にバスの路線や便数も増えている。19年4~12月は前年に開設された新神戸線と有馬温泉線の便数が増えたほか、淡路島と結ぶ路線もできた。新神戸-三宮-空港間を運行するバスの1便当たりの乗客数も5.6人と、前年同期の1.8人から増加。運行する神姫バスの担当者は「停留所を増やした効果もあり、路線の認知度が上がってきた」と手応えを口にする。

■神戸空港島の産業用地、分譲・賃貸微増 全体の2割に■

 神戸市が2019年に分譲・賃貸した神戸空港島の産業用地は0.7ヘクタール。開港後に分譲・賃貸した同用地の合計は16.6ヘクタールとなり、全体(84.8ヘクタール)に占める割合は約2割に達した。

 産業機械卸・製造のカツヤマキカイが0.7ヘクタールを取得した。同社は13年、大阪市などにあった本社と工場を空港島に移した。運搬搬送技術の研究を進める新棟の建設用地を隣接地に確保した。川崎重工業や岩谷産業などの企業グループに貸し出している島北東の沿岸部では20年度、豪州で製造した液化水素を専用船で運び込む実験が始まる。

 島内の用地全体の半分、42.4ヘクタールは今も造成中だ。市の担当者は「関西3空港懇談会で議論される規制緩和の動向によって、望ましい土地の活用方法が変わってくる」と指摘。旅客数がさらに増えれば、現在の倉庫、ヘリポートだけでなく、オフィスや商業施設などの進出も視野に、用途変更を検討する考えだ。