市販車はゼロでも…マツダ「ロータリーエンジン」未来の可能性

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マツダのロータリーエンジン

大変革期にある日本の自動車メーカー。その中で、独特の存在感を示すのが、マツダだ。誕生から100年、同社は「エンジンへのこだわり」と「デザイン性の高さ」で、コアなファンの心をとらえ続けている。その “原動力” の秘密に迫った。

1960年代、ドイツの技術者フェリクス・ヴァンケルが、ローター(回転子)を利用した「ロータリーエンジン」を発明した。「量産実用化の道はない」とまでいわれていたロータリーエンジンを、実用化させたのがマツダだ。

開発には多くの困難がともなった。たとえば、ローターハウジング(エンジンの外壁を構成する部品)の内側にできる、「チャターマーク」と呼ばれるひっかき傷は、エンジンを停止させる致命的なトラブルを引き起こした。

47人の技術者を集め、ロータリーエンジン研究部を部長として率いた山本健一・元社長は、いまもエンジニアたちの精神的支柱だ。

「私たちマツダの技術者たちは、『飽くなき挑戦』という言葉を、山本さんから託されているのです」(パワートレーン開発本部・新畑耕一氏)

“マツダの誇り” ともいうべきロータリーエンジンだが、現状、搭載する市販車は製造されていない。

「それでも、まだ可能性はあります。たとえば、『レンジエクステンダー』というEV(電気自動車)の発電システムとして、小型軽量のロータリーエンジンは有利です」(同前)

さらにマツダは、ロータリー以外のエンジンについても開発を進めた。それが、ガソリン・ディーゼルともに圧倒的な低燃費を実現したうえで、“走る歓び” を生み出す「スカイアクティブエンジン」だ。

マツダの車両構造技術である「スカイアクティブテクノロジー」は、燃費だけでなく、トランスミッションやプラットフォームなど、クルマの基本のすべてについて、技術革新を追い求めているのが特徴だ。

「(エンジンを代表とする)内燃機関の目指すところは、『最少の燃料で最大のエネルギーを生み出すこと』、つまりエンジンの熱効率を広く最大化することです。そのためには、まだまだやることがいっぱいあります」

マツダのエンジニアたちは、そう口を揃える。彼らは、エンジンの可能性をとことん追求して、まさに “飽くなき挑戦” を続けているのだ。

(週刊FLASH 2020年2月18日号)