【26歳ゲイコラム】ハッピーバレンタイン♪ Twitterでの #ホモチョコ論争を見て思ったこと。

――「ホモ」という言葉がライトに使われるようになった要因って何だったんだろう?

2月上旬には「#ホモチョコ」というワードがTwiter上でトレンド入りして、論争が巻き起こっていたのに、あっという間にバレンタイン当日。さっきお昼休みにとっても美味しいサンドイッチを食べに連れて行ってもらったのだけど、外寒すぎじゃない?風邪ひきたくないから数年ぶりにヒートテックでも買ってみようかな。

それは置いといて私が高校に通っていた2010年前後にはもう「ホモチョコ」なんていう、男性が手作りしたバレンタイン用のお菓子、または男性が男性にバレンタイン用のお菓子を渡す行為を指す言葉はすでにあった気がする。「┌(┌^o^)┐ホモォ…」の絵文字もニコニコ動画を中心に流行ったよね、懐かしいわ~。当時、腐女子の友人(この子が持っている同人を初めて見た時は正直引いたわ…確か「黒○の○スケ」だったような)もSNSで多用していたけど、よく見ると可愛い!

私が高校生の時に「ホモ」という言葉を取り巻いていた環境を考えてみると、各自治体がBL(ボーイズラブ)コンテンツを規制する動きに出るくらいマーケットが大きくなっていたし、マツコ・デラックスさんのようなキャッチーなオネエタレントが続々とTV出演する「オネエブーム」なんかもあったから、「ホモ」という言葉から連想される事柄に対しての商業性やエンターテイメント色が世の中全体で強まっていたということは少なからずありそうよね。

高校生だった私もバレンタインシーズンになると色めきだってたわ~。まぁ通っていた高校では3年間、一切ときめくようなBLチックなことはなかったのだけど…Twitterってこういう時本当に便利!検索窓で「ホモチョコ」「ホモチョコ 高校生」なんて検索すると、全国各地のDKたちがポッキーやらぷっちょなんかを口移ししたりする動画がわんさか出てきた。個人的にはノンケ感増し増し工業高校DKによるぷっちょ口移しリレーの動画(衛生的に見ると最悪とかいうシラけた意見はガン無視よ)が好き過ぎたわ。「はぁ…」なんていうため息本当につくことがあるんだって、この時初めて知った。その当時、正直に言うと一当事者である私は、「ホモチョコ」からLGBTQへの差別ということを深く連想することはなかった。やっぱりエンタメとしての面ばかりを強く見ていた節はあるかもしれないわね。

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――#ホモチョコ という言葉は100%悪意で使われてしまったとは思いたくない?

まぁあれから約10年経って、もうすぐマッチングアプリで若い子から切られる年齢とも言われる26歳になるわけだけど、有志あるLGBTQアライの先輩方がステップを踏んで、少しずつ道を切り拓いてくれたおかげで日本においてもLGBTQを取り巻く環境が大きく変わった。本当に感謝しかないです、ありがとうございます。

そんな風に改めて自分が置かれている現在の環境にありがたみを実感していた矢先に、Twitterでトレンド入りしたのが「#ホモチョコ」。どうやら診断メーカーがことの発端のようね。診断内容は「本命チョコ」「義理チョコ」「ホモチョコ」「呪いチョコ(もう少し名前ひねりなさいよ、つまんないチョコ)」などがそれぞれいくつもらえるかというのもの。
診断結果を「ホモチョコ」にフォーカスしてテキストを添えたツイートを投稿した人たち、それを見た人たちとの間で論争が起きて現在に至ったっぽいね。この論争には著名人なんかも言及していて、それも大きくなった要因みたい。

私がこの一連のツイート内容を約5メートル分上にスワイプし続けて思ったのは、この診断メーカーの制作者も含めて不特定多数のLGBTQ当事者をエンタメ的に取り扱っても問題が無いという感覚の持ち主はまだまだいるんだなぁということ。同時に、そういったツイートを非難している人たちに対しては、およそ140文字しか一度に書けないプラットフォームの中で、LGBTQやアライの人たちが数十年汗水たらして世の中に浸透させてきた歴史や知識、考え方を全て理解してもらうのには無理があるんじゃないのかなぁということ。そんな光景を目の当たりにした時、昔観たブラック企業を題材にした映画で、頭ごなしに主人公を怒る上司を思い出した…ハマリ役だったけど。

でも実際は難しいわね。私だったら、どうするか…。もしHAPPYな気持ちが体から溢れ出そうなほど良好な心理状態の時にLGBTQ当事者を傷つけるような#ホモチョコ ツイートを見たら、正しい知識を刃にして胸元に突き付けるのではなくて、今自分がどんな気持ちなのかということを正しい知識を織り交ぜつつ、両手で優しく手渡すような感覚でリプライしてみようとは思うかな。まぁ物凄く嫌な気持ちで一日を終えそうな時だったら、力が入りすぎてスマホ画面を親指のタップ一回で割るくらいカチンと来てしまうかもしれないけど!

カッとなってすぐ行動しない、一度よく考えてどんな状態でも最善の道を選べる男になりたいものです。「ここはこうだから、こうなるんだよ。それじゃ次は…」とPDCAサイクルを深く理解した超デキる上司のように。私、そういう上司に惚れやすいんだよね~。まぁ100%ヘイト的な内容だったら話は別、そうしたら私も参戦するからそのアカウント教えてちょうだい!でもそうじゃなくて、大半が「LGBTQ」はエンタメ的に扱ってもさほど問題はないという無意識に近いような感覚でツイートをしてしまったという人が多いと思いたいんだよね。正直、まだ完全に「ホモ」という言葉が差別用語であることって浸透していないし、当事者が使うホモ、若い当事者世代が発信するエンタメホモも使い方が色々あって私ですら分からないわ。
それに電車での移動や街中で遊んでいる時なんかも「くっつくな、ホモかよ (笑)」とかおふざけ半分に言ってる学生たちと一度は遭遇したことない?彼らがLGBTQについての情報量が当事者より少ないのは、当たり前のこと。私だって、申し訳ないけどヴィジュアル系バンドやプロレスのような自分と深い関係性にないコトは全く分からないもん。

「#ホモチョコ」論争が起きてしまうような環境を変えていくには、もう少し物腰柔らかく理解を深めていく必要があるのかな~とも思っている。例えば私だったら、LGBTQ当事者への支援が素晴らしいと話題になった、1万RT越えのツイートをノンケアカウントでリツイするとかしてみるかな。1万RT超えてたらLGBTQ当事者だからではなくて、社会的に意義のあることという体でRTしたのだなとフォロワーさんは思ってくれないかしら、ダメ?ゲイバレしちゃうかな?まぁその辺の線引きは人それぞれだけど、これに限らず小さな行動を各々が積み重ねていけば、「#ホモチョコ」といった差別用語を含んだ造語も少しずつ消えていくと思うし、今回の一連の論争はその流れを作るきっかけになった気もしているの。このような論争がまた起きたら、批判的な文面ではなくて正しい知識をベースとしたツイートで世の中に理解を求めていけたらいいなって。

男同士で渡すチョコね~名前何が良いかしらね。「男の子同士のバレンタイン」を英語に訳した後、頭文字4文字とって「#○○○○」みたいなオシャレなのが流行ったら良いよね。インスタっぽいタグ誰か考えて、お願い♡

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記事作成/芳賀たかし(newTOKYO)
イラスト/TAKUO

TAKUO
インスタグラムのフォロワーおよそ50,000人を誇る、美容師兼イラストレーター。「#美容師あるある物語シリーズ」の投稿が美容師や美容学生の間で共感を呼び、人気を博す。小学館より「美容師あるある物語」が発売中。今、美容業界で最もホットなクリエイターの1人である。

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