英EU離脱、ポーランドの日系企業に影響は? 来日したモラウィエツキ首相に聞く

 ポーランドは1989年のベルリンの壁崩壊以降、東欧地域で順調に経済成長してきた国の一つだ。日本外務省などによると、2018年の経済成長率は5・1%。18年10月時点で300社以上の日系企業が進出している。欧州の経済大国ドイツに隣接し、04年には欧州連合(EU)に加盟した。

 しかし英国が1月末にEUから離脱した。2度の世界大戦への反省から生まれたEUにとって、加盟国の脱退は初めてで、統合を深化させてきた欧州は新たな岐路に立っている。ポーランドから1月に来日したモラウィエツキ首相に、離脱の影響などを聞いた。(共同通信=岡田隆司)

インタビューに応じるポーランドのモラウィエツキ首相=1月20日午後、東京都内

 東京都内で共同通信のインタビューに応じたモラウィエツキ氏は、英国のEU離脱に関連し、ポーランドに進出している日系企業に影響が出る可能性は「ほぼゼロだ」と強調、懸念払拭(ふっしょく)に努めた。またEU離脱を受けて、企業が英国からポーランドに拠点を移すなど「前向きな影響」につながる可能性を指摘した。

 モラウィエツキ氏は来日時に安倍晋三首相と会談した。原子力や水素技術の活用など、エネルギー分野での協力を進展させる方針で一致した。EU欧州委員会は温室効果ガス排出対策に取り組む姿勢を打ち出しているが、ポーランドは現在石炭への依存が高く、エネルギー源の多様化を進めたい考えがあるとみられる。

 モラウィエツキ氏はインタビューで原子力にも言及した。日本原子力研究開発機構とポーランド側が19年9月に材料開発などで連携強化する取り決めを結んだ原子炉「高温ガス炉」の導入について、正式なパートナーは「まだ決めていない」とし、日本には「チャンスがある」と述べた。

 ただポーランドの高温ガス炉については、日本のほか中国などが協力を模索しているとの見方がある。

 ポーランドは伝統的な親日国だ。国交を樹立してから、19年で100周年を迎えた。モラウィエツキ氏は、副首相や財務相などを歴任し17年に首相に就任。今回が就任以降、初めての来日だった。

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