特集「広がる教育のかたち」〜村だからできる教育・村でしかできない教育〜(1)

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村報平成31年2月号では、未就学児童支援にスポットを当て、子育てに関する特集を掲載しました。
今月号では、各小・中学校での取り組み、村からの支援などについて紹介します。
取材・文 千葉陽一・山香慶造

■学校長に聞く ~我が校の取り組み~
統廃合により2つの小学校、1つの中学校となった村の学校。各校が特色を生かした教育に取り組んでいます。
今回は、各学校長に「力を入れている教育方針」「学校長としての想い」などをインタビューしました。

○インタビュー
十津川第一小学校 中川校長

上野地小学校、二村小学校、三村小学校が統合して10年が経ち、3校の特色が混ざり合ってきたと感じています。
統合校ではありますが、統合前に各校で取り組んでいた一輪車やわらべ歌、和太鼓といった文化も継承し、村文化祭や学習発表会などで披露しています。
本校の特徴は「子どもたちの仲が良いところ」だと思います。低学年から高学年までが自然にふれ合うことができています。これは、平成27
年度より取り組んでいる「全校学び合い活動(※1)」の成果だと思います。
全校学び合いでは、「(1)全員達成を目指す (2)一人も見捨てない (3)自分の力で頑張る (4)分かったふりをしない」の4つの目標に向けて児童がそれぞれ考えながら行動しています。人数の少ないへき地ならではの取り組みだと思います。

○インタビュー
十津川第二小学校 中西校長

統合してからの歴史は浅いですが、統合前の各校の特色のバランスをとりつつ指導に取り組んでいます。
中でも、特別活動(※2)に力を入れていて、通常の授業・特別活動とそれぞれで得た技術や考えが相互で行き来し、子どもたちの成長につながっていると感じています。
昨年11月には「第58回奈良県小学校特別活動研究大会」を本校で実施しました。県下80人を超える先生方に参加いただき、児童の取り組みに対して高い評価をいただきました。
その他、国の学習指導要領に定められた小学校での「外国語活動」としては、5〜6年生での「外国語」、3〜4年生での「外国語活動」だけでなく、1〜2年生からも外国語に触れていく授業を取り入れています。
村にはALTの先生がいますので、「英語」に特化して小さな時期から外国語になじんでいくことができています。

(※1)全校学び合い活動とは?
全校生徒が一つの教科問題に取り組みます。解答を自分で採点し、すべて正解できたら、同学年だけでなく低学年で困っている児童に正解へ向けての手助けをします。
問題を解くだけでなく、コミュニケーション能力の向上にもつながっています。

(※2)特別活動とは?
集団や社会の一員としての見方や考え方を学び、様々な集団活動に自主的・実践的に取り組み、集団生活を通して「人間関係形成」、「社会参画」、「自己実現」などの資質・能力を育成することを目指しています。
十津川第二小学校では、その一つとして踊り保存会の方々の協力を得て、各地区の伝統文化に触れ、学び、発表するといった活動も行っています。

~統廃合の歴史~
・十津川第一小学校(平成22年開校)
上野地小学校・二村小学校・三村小学校が統合

・十津川第二小学校(平成29年開校)
平谷小学校・西川第一小学校・西川第二小学校が統合

・十津川中学校(平成24年開校)
上野地中学校・小原中学校・折立中学校・西川中学校が統合

○インタビュー
十津川中学校 平校長

山村地域には高校のない自治体もあり、その場合は高校進学とともに住んでいる地域を離れる選択しかありませんが、村には県立高校があるので、中学校を卒業するまでに、村に残るか村外に出るか「選択すること」ができます。
また、十津川高校とは17年間中高一貫教育で全校生徒同士での交流を毎年行っていました。昨年度からは、小学校も含めた「十津川地域連携教育」となっています。中学生が高校生と交流することで高校生活の一端を見ることができ、自らの将来像を描く上で貴重な体験となっています。

親子の関係である新十津川町の中学生とも交流しています。その時間は短いですが、親子関係があるからこそ可能となっている交流があり、貴重な体験ができています。
「防災教育」では、『自らの命を守る』ことを最優先としながらも、その後『自分たちができることは何か』を考えることを身につけてもらいたいと考えています。災害を経験した村だからこそできる教育を行いたいです。
生徒達には、中学校生活の3年間で卒業後の生活をイメージできる人になってほしい。自ら何ができるか考え「選択」できる人間、受け身から行動に移せる人間になってほしいです。

・村の支援の特徴は?
村から給食費などの支援があります。さらに、部活動の遠征費の支援もあり、生徒が部活動に集中できる良い環境が整っています。

■奈良県による森林環境教育
各学校での教育に加えて、森林環境教育が行われています。奈良県南部農林振興事務所が中心となり、様々な体験学習が行われています。間伐・薪割り・木工といった体験のほか、樹木観察や古くから村の産業として営まれてきた林業の話を聞くなど、十津川だからこそできる体験学習が行われています。「小中学生みんなが楽しみながら学習してくれている。そんな表情や笑顔を見て我々も達成感がある」と教える側もモチベーションが上がっているそうです。

○南部農林振興事務所からひとこと
間伐体験などのフィールド学習は、人数の多い都会では困難な場合もあります。『森林』というフィールドがある村だからこそ、こういった体験ができているので、この貴重な経験を大人になっても生かせるように育っていってほしいです。今は森林環境教育が広い世代に広がっています。この取り組みは保育所から高校、また一般向けにも開催されていますので是非参加してみてください。