受賞の前山さん「書く原点にいた」 熊日文学賞で贈呈式

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第61回熊日文学賞を受賞した前山光則さん(左)と奨励賞の森水菜さん=14日、熊本市中央区のホテル日航熊本(池田祐介)

 第61回熊日文学賞の贈呈式が14日、熊本市中央区のホテル日航熊本であり、エッセー集「ていねいに生きて行くんだ《本のある生活》」の作家前山光則さん(72)=八代市=に河村邦比児・熊日社長が賞状と副賞30万円を贈った。奨励賞の公募小説「この男の場合は」の会社員森水菜[みな]さん(26)=阿蘇市=にも賞状と副賞10万円を贈呈。正賞と奨励賞の同時選出は初めて。

 「ていねいに-」は前山さんが読んだ本や出会った人々、旅の記憶など70編のエッセー。「この男-」は、体が不自由で偏見や差別を受けながら生きる男の心情を描いた。

 河村社長が「熊本の文化が隆盛するようお二人の活躍を願います」と祝辞。選考委員を代表し、岩岡中正さん(熊本大名誉教授)が「前山さんは人間を愛する知性を持ち、文学者として先を見通す力を培ってきた」、古江研也さん(熊本高専名誉教授)が「森さんの作品には物言えぬ存在に代わって表現するという『文学の原点』を感じた」と評した。

 前山さんは「書きたいから、関心があるから書くという原点にいたと思う。島尾敏雄らについても書くことができ満足している」と謝辞。森さんは車いすで暮らす自らの心情を語りながら「書くことは私にとって『光』。自分を信じて私にしか書けない文章をつづっていきたい」と抱負を述べた。

 県内在住者の刊行物と公募小説を対象に選考。今回は刊行物6点と公募小説2点の最終候補から選んだ。(飛松佐和子)