①物件選びの条件

今月のテーマ:不動産購入の基礎

今月は不動産のプロが、今さら聞けない不動産購入の基礎と注意点について、4回に分けて解説する。今号は、魅力的な物件が多く存在するニューヨークでの、自分にベストな物件の見極め方を紹介。

Q. 物件探しは、まず何から始めるべきでしょうか?


A.

すてきな物件に出合っても、自身の手が届かない金額だと、物件探しのモチベーションも落ちてしまいますよね。まずは収入や貯蓄を含めた、自身の経済状況を銀行と相談することから始めましょう。私が物件をご案内する際も、最初に予算をお伺いして、それに合った条件の物件を選んでいます。

銀行からのプレアプルーブ・レターと個人財務諸表は、物件探しを始める段階から、お客さまに用意してもらうようにしています。これらの書類はオファーの段階で必要になります。

どんな物件が最適なのかは、個人の価値観やライフスタイルによっても異なります。自分の中で「これだけは外せない条件(マストリスト)」を五つほど挙げてみましょう。

例えば、①希望のエリア・地区②通勤に利用する地下鉄沿線③ペット可物件④浴槽(バスタブ)あり⑤ユニット内に洗濯機が設置可能、などが挙げられます。朝にシャワーを浴びる文化のアメリカでは、日本人のこだわる浴槽は、高級物件でも設置されていない場合があるので要注意。

また一般的には、アパートは階層が上がるごとに高級になる傾向があるかと思います。

希望のエリアと予算のだいたいの目安が決まれば、似た条件の地域も見定めることができます。「5番街に住みたいが、予算は〇〇ドルしかない」という場合は、5番街に似た雰囲気や、同じ地下鉄沿線の地域も検討できると思います。

ちなみに、家族連れだと学区を気にする人も多いですが、行政によって区域が変更となる場合がありますので、注意が必要です。

Q. コープとコンドミニアムの違いについて、教えてください。


A.

コープ(Co-Op)では住人は、建物の共同株主という扱いになります。物件の権利書ではなく、永久に賃貸できる権利を保有する形態です。マンハッタンでは一軒家以外だと、元々このタイプの物件しかありませんでした。

コープは基本的に、自身が居住用として購入することが前提です。サブリースはもちろん、物件によってはセカンドハウスとしての利用も断られます。

物件価格だけ見ると、コープの方が安く感じることが多いと思います。しかし、購入に当たっての審査が厳しいのが、コープの最大の特徴です。銀行が40〜50%のモーゲージを提示した場合でも、コープ側が25%を要求したりと、自分の予算条件をクリアした後でも気が抜けません。クロージング後の現金化可能な資産額も、審査対象なので、1年半〜2年先の将来を見据えて行動した方がいいでしょう。

一方、コンドミニアム(Condominium)はユニットを購入する形態です。投資用物件の購入を検討されているなら、こちらのタイプが該当します。

Q. 一軒家の購入は現実的ですか?


A.

マンハッタン内はあまり現実的ではありませんので、郊外での購入を検討する人がほとんどです。一軒家は管理者不在なので、買い手自身がメンテナンスをする必要があり、維持費の支出が大きくかさむ可能性もあります。

〈おことわり〉

当社は、掲載記事の内容に関して、一切責任を負いかねます。詳細は各専門家にご相談ください。

北川七菜子さん

ニューヨーク州ブローカー免許保持、同州不動産協会会員、認定交渉専門家。 住宅売買・賃貸のスペシャリスト。 特に投資物件に関しての知識が豊富。 バレリーナとして、カナダ、ヨーロッパ、アメリカで活躍後、2008年より現職。

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