ペット市場。飼育者増加。健康管理、マナー・エチケット関連で需要拡大

 空前のペットブームと言われる。ペットフード協会の統計を見るとペット犬は減少傾向だが猫は横ばいで、犬猫ペット数自体は減少傾向のようだ。一方で総務省の家計調査をみるとペット関連費はこの十数年間で約1.5倍に増加し、特に女性35~59歳の単身世帯では2倍以上と著しい。

 10日、矢野経済研究所がペットビジネスに関する調査の結果を公表した。2018年度のペット関連総市場規模は小売販売額ベースで前年度比101.6%の1兆5442億円と推計している。19年は1兆5700億円と見込まれ前年比101.7%と引き続き堅調な増加になる見込みだ。14年は1兆4498億円であったので、この5年で108.3%の増加だ。

 各市場の詳細を見ると、ペットも高齢化が起こっており失禁ケアのニーズが高まっている。屋内でのマーキングの防止やペット同伴の外出時のマナー・エチケットの観点からペット用おむつに対するニーズが拡大している模様だ。こうした背景から18年度のペット用おむつの市場規模はメーカー出荷金額ベースで65億円、前年度比115.2%と推計されている。

 今後もペットの同伴が可能な施設などへの外出機会が増える事でマナー目的でのペット用おむつの使用は拡大していく見込みだ。企業各社はフィット感や機能性など商品の改良を進めるとともに固体特有のサイズに対応した品揃えの強化など細分化・多様化するニーズに対応する商品展開を進めているようだ。レポートでは大手を中心に小型犬用サイズから大型犬用サイズまで大容量タイプの動きが良いことから広く固定ユーザーの獲得が進んでいると見ている。

 将来展望に関しては、こうした背景から20年度には1兆5978億円、前年比101.8%と微増ながら拡大傾向で推移すると予測されている。ペット総数自体は微増傾向であるがペットを家族の一員として捉える飼育者が増加しており、快適な飼育環境を実現するために一頭あたりの消費支出は増加傾向にあるようだ。レポートではプレミアムフードやペット保険などのカテゴリーも引き続き市場拡大の見通しとしている。

 ペットフードでは「腸内フローラ」や「グルテンフリー」、「グレインフリー」などの機能を訴求した商品への注力がみられ、「ペット用品でも健康管理やマナー・エチケット関連の製品に対する需要は引き続き高まっていく見通しである」とレポートは予測している。(編集担当:久保田雄城)

矢野経済研究所がペットビジネスに関する調査

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