たすきをつなぐ

 布製で、長さ1.6~1.8メートル、幅は6センチ。日本陸連は駅伝競技のたすきの「標準」をこう定めている。ランナーはたすきを肩から斜めに掛けているが、これも決まり事らしい▲恒例の郡市対抗県下一周駅伝大会が幕を開け、初日の力走をきょうの本紙でお伝えしている。本紙のホームページやLINE(ライン)、ツイッターで「速報」を見ている方も多いだろう。細いたすきを渡す、その時の写真、画像がぐっと目を引く▲各世代にわたる走者の一人一人に、練習でひたむきに走ってきた時間がある。「初舞台でベストの走り」か、記録の「昨年超え」か、それぞれの目標がある。励ましてくれた誰か、心の支えとなる誰かへの感謝も、きっとある▲そうした時間や思いを“貴重品”として、自分一人で負って走るのではない。3日間で42区間、407.3キロを走り抜ける県下一周駅伝では、それらを走者たちがたすきでつないでいく▲思えば駅伝とは、かけがえのない貴重品を託し、託されて走る大変な競技であり、だからこそチーム一丸の走りに熱も入るのだろう▲先ほど「励ましてくれた誰か、心の支えとなる誰か」と書いた。選手の身近な人だけでは、もちろんない。沿道の皆さんの熱いご声援も全身で受け止めて、幅6センチほどの布がきょうも、あすもつながれる。(徹)

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