大会初の鶴南特支出身ランナー ・山田怜也 長崎 県下一周駅伝

仲間と楽しみ 新たな目標へ パリパラ目指す第一歩に

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長崎の7区を務めた山田(山口商店、中央)。4年後のパリパラリンピックへの第一歩を踏みだした=佐世保市

 14日にレースが始まった郡市対抗県下一周駅伝。今回、69回の歴史で初めて、県立鶴南特別支援学校の卒業生がたすきをつないだ。長崎チームの山田怜也(山口商店)は7区(9.0キロ)を任され、首位と1分40秒差の区間9位と健闘。「前半はついていけたけど…、最終日も走るので切り替えたい」と満足はできなかったが、大会に新たな一ページを刻んだ20歳は最後まで全力で前を追い続けた。
 毎朝、5時15分に起床。父、嘉彦さん(40)とともに自宅周辺で5キロをランニングする。もう約10年間も続く日課だ。
 3歳児健診で知的障害があると分かったが、長崎市立香焼小入学後は、4年時から健常児と一緒にサッカーを始めた。朝のランニングは、そこで仲間たちに負けないようにするための自主練習。1.5キロからのスタートだった。
 徐々に走力がついて「やれる」という自信が持てた。香焼中でもサッカーを続け、私立高校から推薦入学の誘いがくるほどに上達した。ただ、学力はやはり厳しい。高校は鶴南特支に進み、陸上に絞った。
 学校の部活動に加えて、地元の「南部アスリートクラブ(AC)」にも参加するようになった。対象は小学生だったが、快く受け入れてもらえた。早朝練習に部活、休日は南部ACで走り込み。結果、2017年秋の全国障害者スポーツ大会知的少年男子1500メートルで優勝して、東京パラリンピックの強化指定選手になった。さらに、その年の冬はアジアユースパラ陸上に出場。1500メートルで銅メダルに輝き、東京パラ出場の期待が高まった。
 その後も缶の仕分けなどの会社の仕事と両立させて挑戦を続けた。だが、昨夏のジャパンパラ陸上で、再び強化指定を受けるためのタイムに届かなかった。大会に出続けるには遠征費もかさむ。「東京」の夢は諦めざるを得なかった。
 心が折れかけた。でも、そんな時、南部ACの小学生の指導者で、自らも県下一周に出場する23歳の柳友祐(早瀬鉄工所)から「一緒にやろう」と誘われた。長崎チームの毎週水、日曜の練習会に参加。「みんなで走るのは楽しい」。新たな目標ができた。幅広い世代のランナーが集まる中、選考会で結果を残した。
 迎えた本番。支えてくれた両親、ともに汗を流した仲間、温かく接してくれる地域の人たちへの感謝の思いを込めて、力を振り絞った。自分の世界を広げてくれた陸上。「4年後を目指してみたい」。県下一周がパリパラへの第一歩になった。

 

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