性=恥ずかしいことの時代はもう終わりかも。TENGAヘルスケアの性教育サイト「セイシル」で自分らしく生きるヒントを。

「性」にまつわる問題を解決に導くためのグッズやサービスを展開するTENGAヘルスケアが、2019年12月に性教育サイト「セイシル」をローンチ。世の中の目に触れるようになってから約二ヶ月ほどだが、既に全国の中高生を始めとした性に悩める人たちからのお悩み相談が何百通も寄せられている。情報化社会と言われている現代においても、思春期(第二次性徴期)による「心」と「身体」の顕著な変化に悩まされている10代は少なくなさそうだ。

次のライフステージにステップアップするために必要不可欠な「性」に対する多角的視点を身につけて生き方の選択肢を広げてほしいと話すのは、TENGAヘルスケアの役員・佐藤雅信さんとスタッフで助産師の古川直子さん。
今回はお二人に今を生きる中高生がどういった悩みを抱えているのか、そして彼らの為に「セイシル」が取り組んでいること、そして将来の性教育に対する理想的な在り方を伺った。

* * * * *

キュートなキャラと29人の専門家が性に関するモヤモヤを解決に導くセイシル

――中高生向けの性教育サイト「セイシル」を立ち上げたきっかけを教えてください。

古川さん:TENGAヘルスケアは性の障害や問題を抱えている方たちに向けてそれらを改善・解決に導く商品やサービスを提供しているのですが、そういった活動の中で性に対するお悩み相談を頂く機会が多かったことが最初のきっかけです。当事者はもちろんですが、性を正しく教える立場にある先生方から「保護者の方の意見や教育という範疇の中で、どのように教えるべきか分からない」といった声も多いことに驚きました。そういったことから大切な人、そして自分自身を傷つけないためにも性に対する正しい知識を良いタイミングで身に着ける必要性があるのではないかという意識が社内で芽生え始めました。

佐藤さん:数あるお悩みの中でも「膣内射精障害」という膣内での射精が困難になる症状を抱えた若者が増加傾向にあることに大きな問題意識を持ちました。膣内で射精ができないということは、不妊の一因にもなり得る症状ですから。そうなってしまった原因を辿ると、やはり思春期に覚えた不適切なマスターベーションを継続的に行ってきてしまったケースがほとんど。弊社が出しているトレーニングカップで症状の改善は期待できるかもしれないですが、そうなる前に予防をすることが何よりも大切であると痛感し、中高生をターゲットとして性にまつわる様々な情報を発信する「セイシル」を立ち上げることにしました。

――他の性教育サイトや学校の教科書とは違う、セイシルのオリジナリティを教えてください。

古川さん:サイト全体をパステル調のカラーリングに統一、また日常生活では口に出しづらいような言葉はキャラクターのセリフとして取り入れて「性」を知ることに対する抵抗を減らしたビジュアルです。

性教育に使用される医学書や教科書だと生々しい描写がダイレクトに表現されていることから、正しい知識を知ることがマイナスなイメージに繋がりがちですがマイルドに伝えることでそういった意識も薄まると考えました。何においても第一印象ってとっても大切じゃないですか?「可愛い!」と思ってもらえるぐらいが丁度良いし、読み進めていく中で自分ごととして考えてもらえたら嬉しいですね。

佐藤さん:29人の専門家が回答者として在籍しているのですが、お悩み相談に対して一人の専門家だけでなくそのお悩みに関連する分野の専門家からも回答を得られるというのは、セイシルならではだと思っています。専門家の一意見に縛られることなく、多様な視点で自分自身の悩みと向き合う力が身につくはず。性について教えるのではなく、読者の方に選択肢を提示して考えてもらうきっかけを与えるまでが、私たちの役割だと考えています。

* * * * *

性を知ることは生き方の選択肢を広げる。セイシルが目指す次世代の性教育とは?

――男女だけでなく記事を分け10カテゴリの中に「多様の性」といった、LGBTQにもフォーカスしたカテゴリを設けた理由を教えてください。

佐藤さん:単純に多様性を肯定してLGBTQ当事者が抱えている悩みを解決に導く一助になればと思う反面、LGBTQ当事者を1ジャンルとして切り取って彼らにフォーカスを当てるのは果たして正しいことなのかという葛藤はありました。人間一人ひとり違うのは当たり前のことですから。

ただ、中高生が「LGBTQ」に関する話を抜きにして多様性を理解することはとても難しいと思ったんです。色々な意見があることは承知していますがその上で、今は多様性への理解を深めていく過渡期であると判断してひとつのジャンルとしてカテゴリを設ける判断をしました。

――LGBTQに関するお悩みも含めてどういった内容の問い合わせが印象に残っていますか?

古川さん:ローンチしてから1ヶ月くらいでおよそ300件を超えるご連絡をいただきました。その中でも「同性の友達が気になっているのだけど、友情や愛情の違いは?」「そもそも恋愛に興味が無い私は、アセクシャル?」といったLGBTQに関するお悩み相談は40件ほどと全体の1割を占めています。自身がセクシュアルマイノリティであるのか否か気になるけど、声を上げて周りに救いを求めることがまだまだ簡単ではない社会なのだなと実感しました。

全体的なお悩み相談という点で印象深かったのは、マスターベーションをはじめとする性行為に罪悪感を持ってしまっている、性行為が気持ち良くないという子供、そして大人がいること。彼らの話を聞いてみると親御さんから「性行為は汚いこと」と教えられてきた方々がほとんどだったんです。私自身、助産師の資格を持っていてライフステージという面で物事を考える場面が多いのですが、性に対する知識においてもポイントポイントで適した知識を得ていくことはとっても大切なことだなと思いました。

――最後にセイシルが10代に特にアプローチしていきたいこと、また世の中の「性教育」というイメージをどのようなものに変えていきたいですか?

古川さん:そもそも「性教育」っていう言葉自体がしっくり来ていないのが正直な気持ちとしてはあるんですよね。性を知ること、そして身体を知ることは生きていく上で必要不可欠なライフスキルのひとつ。「セイシル」はセクシュアル担当として、10代の読者を中心に正しい情報を発信していければと思っています。日本では性に関することを話すのが恥ずかしいこと、言ってはいけないことというイメージが強いですが、正しい知識を身に着けた上でSNSなどで自らが情報発信するのも良いですし、お友達や信頼できる人と面を向かって話し合う場を設けてもらえたら嬉しいです。

佐藤さん:「知ろう、話そう、性のモヤモヤ」をコンセプトとしたセイシル。人に聞けない性についての疑問を、嘘か本当か分からない情報を見て自己完結して終わりでは意味がないと思っていて。在籍している専門家を通して一部の学校の保健室などにセイシルのチラシを置いてもらっているのですが、そういったところから性に関して周囲の人と話すきっかけが生まれれば良いですね。性教育サイトとなっていますが「性」を考えることが「生(生き方)」にも繋がってくると考えています。人間関係の良し悪しを正しく判断し、自身の考えや気持ちを上手に表現できる人間になるために知っておくべきことを、次世代の性教育という面から発信していけるサイトに育っていけばと思っています。

* * * * *

中高生の性のモヤモヤにこたえるwebメディア
セイシル

TENGAヘルスケア公式サイト

記事作成/芳賀たかし(newTOKYO)
撮影/新井雄大 Twitter@you591105

© 株式会社amateras