「碑」授業 未来へつなぐ 県教育研究発表会、山田高の実践例報告

「新聞や多くの人に学び、生徒は古里を知り、時間軸で復興を考え、語り部を目指した」と解説する岩舘巧磨教諭

 2019年度の県教育研究発表会(県教委主催)最終日は14日、花巻市の県立総合教育センターなどで開かれ、教職員ら延べ約1100人が16分科会で実践を共有した。復興教育の成果を発表する「いきる・かかわる・そなえる分科会」では、山田高の岩舘巧磨教諭が本紙連載「碑の記憶」を使った総合的な探究を報告。生徒が津波の歴史や古里を学び未来につなげる授業を解説した。

 同分科会には約130人が参加。岩舘教諭は碑の記憶による探究を中心に、震災学習列車を利用した釜石の語り部との交流、内陸の高校との学習を発表した。

 探究は「次世代に命の大切さを語り継ぐ語り部」を目指し22時間で構成。記事に登場した住民との交流や石碑の見学、本社記者による明治、昭和の大津波とチリ地震津波の記事の解説などを経て、新聞とインターネット地図にまとめた。

 岩舘教諭は「石碑や90年前の紙面が防災への先人の思いや知見を生徒に語りかけ、未来にどうつなぐかを考えさせた。学校にとどまらない、プロからの学びで地域に開かれた探究ができた」と振り返った。

© 株式会社岩手日報社