マスク手作りの動き広がる 生地など売り切れる店も

生地やゴムなどマスクの手作り用の材料が並ぶ売り場=横浜市港北区

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で不足するマスクを手作りする動きが広がり、県内の手芸材料店では生地用のガーゼなどが売り切れる店舗も出ている。ただ、既製品の不織布製に比べフィルターの性能で劣るとの指摘もあり、消毒や抗菌作用のあるスプレーを併用するなど、あの手この手の“自衛策”も必要になっている。

 「普段ならこの時期の売り場は入園・入学関連で一色ですが、マスクが店頭に並ぶのは初めての事態です」─。驚きを隠さないのは、県内や都内で手芸材料店を展開する「オカダヤ」(東京都)の担当者だ。

 既製品の不織布製マスクの品薄が表面化した1月末に、手作り用のマスク材料を集めた売り場を各店店頭に新設したところ、購入客が増え続け、マスク生地や耳にかけるゴムの2月上中旬の売り上げは、前年同期比の3~4倍に達した。

 同社が横浜市港北区に出店する「マーノクレアール」では一般的な白いガーゼ生地や鼻当て部分に使うワイヤが売り切れる事態に。マスク生地や作り方を封入したキットも500円前後で販売しており、生越由樹子店長は「洗い替え用や家族用にまとめて購入するお客が多い」と話す。

 ただ、ガーゼマスクだけでは空気中の飛沫(ひまつ)を捕捉するには十分な効果が得られないともいわれており、消毒・抗菌スプレーの使用や、マスクと口の間にさらにガーゼを当てるなどの提案も行っているという。

 同市港南区の「横浜コットンハリウッド」でも手作りマスクの材料が売れており、インターネット通販も活況という。高瀬清彦社長は「最近はわざわざ手作りする人がいなかった分、売れ行きは今までにない状況。金額は大きくないが伸び率は30倍以上だ」と強調。耳にかけるゴムが「入荷しても即売り切れる」ため、下着などに使う他のゴムでの代用を提案しているという。

 高瀬社長は「既製品が売っていないし、見通しも立たないので、お客さんからは『簡単だから手作りしよう』『煮沸して洗いながら使おう』といった声が聞かれる」と“自衛”に動く消費者動向を説明する。

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