長崎IRコンセプト募集終了 3事業者がイメージ

オシドリインターナショナルの現時点のコンセプトイメージ(同社提供)

 県と佐世保市がハウステンボス(HTB)への誘致を目指す、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を巡り、県はコンセプト募集に応じた国内外3事業者との意見交換を終えた。各事業者は、長崎新聞の取材に対し、現時点のイメージを明らかにした。県は春ごろにIRを建設・運営する事業者の公募を始める予定。しかし、IRに絡む汚職事件を受け、国は整備区域の選定に関する基本方針の決定を先送りしており、流動的な要素も出ている。

 1日、福岡市内のホテル。長崎IRのセミナーが開かれ、九州の政財界の関係者ら約300人が会場を埋めた。中村法道知事と朝長則男市長が登壇して概要や取り組みを説明。参入に意欲的な3事業者も出席し、県に示したコンセプトの一部についてプレゼンテーションをした。
 3事業者は、▽香港のオシドリインターナショナル▽オーストリアのカジノオーストリアインターナショナル(CAI)▽マカオのIRに携わる長崎市のカレント。
 各事業者のイメージによると、オシドリは近代的な施設が並び、中央付近には巨大な観覧車を配置。CAIはHTBの既存施設を活用し、西洋の街並みも意識した雰囲気になっている。カレントは、統合型エンターテインメントリゾートを目指し、美しい夜景を演出している。

カジノオーストリアインターナショナルの現時点のコンセプトイメージの一部(同社提供)

 国が最大3カ所を選定するIR整備は、大阪府・市、横浜市、和歌山県も誘致を表明。都市圏では、米ラスベガスやマカオなどで有名なIRを運営する事業者が名乗りを上げている。
 有力な候補地とされた北海道が誘致を見送った昨年11月以降、長崎IRへの注目度も高まっている。県のコンセプトに応募した事業者のほかにも、2事業者の関係者が取材に「関心はある」と回答。世界的なIRを手掛ける“ビッグネーム”との協力関係もうかがわせる。県は、多くの事業者の声を聞くため、20、21の両日に東京都内で長崎IRに対する意見交換の場を設ける。

カレントの現時点のコンセプトイメージ(同社提供)

 県は春ごろに実施方針を策定し、IR事業者の公募を始める方針。しかし、汚職事件を受け、国は基本方針の決定を先送り。事業者の選定は、公正さと透明性の担保が重要課題となっている。県は昨年発表した実施方針素案に有識者らでつくる審査委員会の設置を明記。中村知事は福岡市のセミナーで「第三者の審査会を設け、公平公正な仕組みをつくる」と強調した。
 ただ、ギャンブル依存症などの懸念事項対策を含め、具体的な選定基準は、国の基本方針を踏まえて決まる。県IR推進課は「基本方針の決定が長引けば、公募の時期がずれ込む可能性はある。国の区域選定に備え、できるだけ早く公募を始め、事業者を決めておきたい」としている。

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