設楽快走、いけるぞ五輪 熊日30キロV、ファンも大興奮

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雨が降る中、傘を差して設楽悠太(ホンダ)に声援を送る沿道の人たち=16日午前、熊本市中央区(池田祐介)

 1万4千人が熊本城を背に熱く駆けた-。熊本城マラソン2020は16日、9年目にして初めて冷たい雨に見舞われたが、選手たちの力走に沿道は沸いた。熊日30キロロードレースは国内トップ選手が快走し、フルマラソンでは職場の仲間や家族の声援を受け、市民ランナーが懸命にゴールを目指した。

 日本男子マラソンのエースが評判通りの快足を飛ばした。熊本市で開かれた熊日30キロロードレース。設楽悠太(28)=ホンダ=が歴代の五輪メダリストも駆け抜けた肥後路を制した。沿道のファンも大興奮。その走りを7月に迫る東京五輪の足音と重ね合わせた。

 設楽は男子マラソンの前日本記録保持者で、残り1枠の五輪切符を懸けて3月1日の東京マラソンに臨む。大一番を前に「気分で選んだ」という熊日30キロだが、日本マラソンの父・金栗四三(和水町出身)の提唱で始まったレースには、メキシコ五輪銀メダルの君原健二さんやバルセロナ五輪2位の森下広一さんらも参戦。東京五輪マラソン代表に内定している中村匠吾(富士通)と服部勇馬(トヨタ自動車)も駆け抜けた“五輪ロード”だ。

 号砲前、設楽は柔らかな表情を見せていたが、「オーラがすごくて近寄りがたかった」と西田壮志(21)=東海大、九州学院高出。張り詰めた空気の中、自身も「ここで勝たなきゃ次はない」覚悟だった。

 序盤から先頭を引っ張る姿は雨の中に詰め掛けたファンの期待と注目を集めた。スタート付近で観戦した熊本市中央区の藤本秀夫さん(69)は「五輪につながる走りに期待。雨で失速しないでほしい」。折り返し地点で独走を目の当たりにした同市西区の宮本克幸さん(64)は「こんな悪天候の中でさすが」と舌を巻いた。

 中盤、ペースを落とした場面ではファンやフルマラソン参加者の激励に背中を押された。「設楽、頑張れ」。その声に呼応するように再びギアを上げ「熊本の声援が力になった」と振り返った。

 その勇姿は4年後のパリ五輪を狙う次世代走者を刺激する。学生トップで3位に入った吉田圭太(21)=青山学院大=は「あの背中との差を縮めないと世界で戦えない」。西田も「自分の現在地が確認できた。いつか追いつきたい」。

 フィニッシュを見守った和水町の坂口清一郎さん(57)は「東京マラソンで大迫傑選手(ナイキ、日本記録保持者)との一騎打ちに勝ってほしい」。注目の一戦は2週間後。先駆者の名を冠するレースを制した“いだてん”は「日本中を興奮させる走りをする」と言い切った。(高橋俊啓、中島忠道、志賀茉里耶)