【寄稿】「五島市の快挙」 定住化促進へ政策磨け

藤泉

©株式会社長崎新聞社

 新年に入り中国湖北省武漢市に端を発した新型コロナウイルスが猛威を振るい世界中で感染拡大が止まらない。「春節」を祝う長崎ランタンフェスティバルもこの影響を受け来観者が大幅に減った。観光に期待する本県にとって大変な痛手である。一日も早い終息を願うものである。
 2月1日付の本紙は、長崎市の2019年の日本人転出超過数が2年連続全国最多になったことを報じた。県内で転入超過だったのは大村市、北松佐々町、五島市のみという。
 その五島市で転入者が転出者を上回ったのは旧1市5町の合併(2004年)以前の1997年以降で初めてで、まさに快挙である。全国離島でもまれであるという。
 五島市をはじめ離島では、1953年に制定された離島振興法の下で、港や道路などインフラ整備を主として、さまざまな振興策が取られてきた。しかし人口流出が大きく、地域の存続すら難しい状況になってきている。
 そのような中、新しい離島政策として登場したのが、本県離島選出の国会議員らの尽力もあり議員立法で2016年4月に成立した「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」、いわゆる国境離島新法だ。
 長たらしい法律名であるが、その名の通り有人国境離島地域の「保全」と、「特定有人国境離島地域」に指定された15地域71島(本県3地域40島)の「地域社会の維持」を目的としている。
 五島市はこの制度を取り込み、民間企業・住民などと連携し、雇用創出事業やUIターンなど移住促進策のほか、洋上風力発電、マグロ養殖基地化、「つばきのしま」づくり、民泊を含む体験型観光、スポーツ合宿事業、離島留学制度などに取り組んでいる。
 さらに民間開発を誘発し、「GOTO TSUBAKI HOTEL」が昨年6月に開業し、五島日本語学校が今年4月に開校予定。高級リゾートホテルの建設も計画されている。これらがマスコミなどで取り上げられ、五島が全国に認知されつつあるのだろう。
 今年は、五島市出身の川口春奈さんがNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の準主役に抜擢(ばってき)され、テレビ・雑誌で紹介されるなど五島市の話題が事欠かない。五島ブームが起こることだろう。
 課題は、昨12月の有効求人倍率が県内で一番高い1.84だったように、求人に対し求職者が少ないことである。新卒高卒者やUIターン者の島内定住化に本腰で取り組まなければ政策倒れになってしまう。さらなる政策のブラッシュアップが期待される。

 【略歴】ふじ・いずみ 1950年長崎市(旧野母崎町)出身。長崎自動車常勤監査役。元県文化・スポーツ振興部長。県美術館や長崎歴史文化博物館の整備に計画段階から携わり、運営まで実務面を担当した。東海大教養学部卒。

この記事はいかがでしたか?