履歴書の保護者欄を自分で書くのはNG?書き方や注意点を解説!

履歴書には保護者欄が設けられていることがあります。この項目は何のためにあるのでしょうか。また、自分で書くことは許されるのでしょうか。当記事では、これらの疑問に対して法的な観点を交えながらお答えします。保護者欄の書き方や保護者欄がない場合の対処法についても解説しているので、参考にしてください。

履歴書の保護者欄を自分で書くのはNG?

履歴書の保護者欄は自分で書いてもいいのでしょうか。結論から言うと、保護者欄はあくまでも保護者が書くものですから、自分で書いてはいけません。以下、その理由について説明していきます。

未成年者の労働契約には保護者の同意が必要

未成年者が法律行為を行う際には、法定代理人の同意が必要となります。このことは民法第5条に定められています。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

(引用元:民法|電子政府の総合窓口 e-Gov, 第5条1項)

法定代理人とは、親権者や後見人のことです。一般的に使われる言葉である「保護者」と同義と考えて問題ありません。

履歴書は企業の採用選考で提出が求められる書類であり、個人と企業が労働契約を結ぶ際に使用されます。労働契約は法律行為ですから、保護者の同意が必要です。つまり、履歴書の保護者欄には、保護者(親権者または未成年者後見人)が同意していることを証明する役割があります。

未成年者の定義

先に述べたように、履歴書の保護者欄は採用選考に臨む人が未成年者である場合に記入が求められます。未成年者とは、成年年齢に達していない人のことです。成年年齢は民法第4条で20歳以上と規定されています。2020年2月現在の法律では、たとえ高校を卒業していたとしても18、19歳であれば保護者の同意を求められるので注意してください。

なお、成年年齢は2022年4月1日に18歳へと引き下げられます。2022年4月1日以降は、その時点で18歳以上であれば労働契約に際して保護者の同意が必要なくなります。

参考

民法(成年年齢関係)改正 Q&A|法務省

保護者の定義

保護者と聞くと、母親もしくは父親を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし「児童福祉法」「学校教育法」「少年法」などの法律で、保護者は親権者または未成年者後見人と定義されていますから、母親、父親に限定されません。未成年者で父母が不在の人は、後見人に保護者欄への記入をお願いしましょう。

保護者本人が書くもの

未成年者の労働契約に際しては保護者の同意が必要です。履歴書の保護者欄は保護者の承諾を示すものですから、未成年者が自分で書いてしまってはいけません。あくまでも保護者本人が記入するものと覚えておいてください。

成年の場合は書かなくていい

成年年齢に達していれば労働契約の際に保護者の同意は必要なくなります。ですから、履歴書の保護者欄への記入も必要ありません。保護者欄のない履歴書もありますから、20歳以上の人はそれらを選ぶといいでしょう。

なお、前述の通り2022年4月1日以降は成年年齢が引き下げられるので、その時点で18歳以上であれば保護者欄への記入が必要なくなります。

履歴書の保護者欄の書き方

履歴書の保護者欄には、「保護者の名前」「住所」「電話番号」などを記入することになります。以下、各項目の書き方や、保護者にすぐに書いてもらえない場合の対処法を紹介していきます。

保護者の名前は世帯主を書くのが一般的

保護者とは親権者または未成年者後見人のことを指します。保護者が複数いる場合は誰の名前を書けばいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。一般的に、保護者欄には世帯主の名前を書くとされています。必ず守らなければいけないルールではありませんが、特別な事情がないなら世帯主に記入をお願いしましょう。世帯主に頼めない場合は、他の保護者に書いてもらっても問題ありません。

同居であっても住所は省略しない

保護者と同居の場合であっても、保護者欄にはきちんと住所を書いた方がいいとされています。あくまでも慣例ですが、「同上」などと省略することは避けた方が無難です。保護者に記入してもらう際には省略しないで書いてほしいと事前に伝えておくことをおすすめします。

電話番号は保護者と連絡がつくもの

電話番号は保護者と連絡がつく番号を記入します。固定電話、携帯電話のどちらでも構いません。連絡がつきやすい方の番号を記入してもらいましょう。

保護者が電話を持っていない場合は、電話を取り次いでくれる第三者の名前を記入します。取り次いでくれる人が佐藤さんであれば、「佐藤方呼出」となります。

保護者にすぐに書いてもらえない場合

1人暮らしの場合には、保護者が遠方にいてすぐに保護者欄に記入してもらえないという状況が考えられます。それでも、郵送するなどして保護者本人に直接記入してもらうのがベストです。

とはいえ、保護者が海外在住だったり、病気で入院中だったりすれば、記入してもらうのに時間がかかってしまうのは致し方ありません。そのような状況であれば、会社に相談してみることをおすすめします。提出期限の延期や代わりとなる書類の提出を認めてもらえるかもしれません。

履歴書に保護者欄がない場合の対処法

履歴書に保護者欄がない場合はどうしたらいいでしょうか。成年であれば、そもそも保護者の同意が必要ないのでそのまま提出して構いません。問題となるのは未成年者の場合ですが、2通りの対処法が考えられます。以下、説明していきます。

保護者欄のない履歴書をそのまま提出する

1つ目の対処法は、保護者欄のない履歴書を他の項目を記入した上でそのまま提出するというものです。会社によっては、採用が正式に決まった段階で「親権者同意書」などの保護者の同意を示す書類を提出する流れになります。その場合、履歴書の保護者欄で同意を証明する必要がなくなります。

保護者欄を自分で付け足す

保護者欄を自分で付け足してしまうというのも一つの方法です。ExcelやWord形式の履歴書をダウンロードして使用する場合には、ソフトさえ持っていれば比較的簡単に保護者欄を追加できます。履歴書を購入してしまっているなら、備考欄を利用して自分で保護者欄を作成するといいでしょう。

最初から保護者欄のある履歴書を選ぼう

基本的には上記の対応をすれば問題ありません。とはいえ、最もスムーズなのは保護者欄が設けられている履歴書をあらかじめ用意しておくことです。未成年の方でまだ履歴書を用意していない場合は、保護者欄のある履歴書を選びましょう。

まとめ

未成年者が企業と労働契約を交わす際には、保護者の同意が必要です。履歴書の保護者欄には、保護者が同意していることを証明する役割があります。自分で書かないように注意しましょう。保護者が遠方に暮らしているなどの理由ですぐに記入をお願いできない場合には、企業にその旨を伝えて後日別の書類として提出できるか相談することをおすすめします。

会社によって保護者の同意を証明する書類や提出のタイミングは異なります。いつ、どのような書類が必要になるのか事前に確認しておきましょう。

参考

労働基準法|電子政府の総合窓口 e-Gov

18歳から“大人”に!成年年齢引き下げで変わること、変わらないこと|政府広報オンライン

児童福祉法|電子政府の総合窓口 e-Gov

学校教育法|電子政府の総合窓口 e-Gov

少年法|電子政府の総合窓口 e-Gov

履歴書に保護者欄がない?書かなきゃダメ?正しい記入方法を解説|バイト探しクリップ

高卒者(未成年)を採用する場合、保護者の同意書は必要ですか?|人事のミカタ

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