【レビュー】未曾有の没入体験──アカデミー賞10部門ノミネート『1917 命をかけた伝令』。

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驚異の「全編ワンカット」映画として、第92回アカデミー賞で10部門にノミネートされ、撮影賞、録音賞、視覚効果賞の3部門を受賞した『1917 命をかけた伝令』。

1917年4月、第一次世界大戦下のフランス。

イギリス軍の若い兵士ふたりは1600人の命を救うための伝令を届ける命を受ける――。

非常にシリアスなテーマとメッセージを宿した物語だが、掟破りの「全編ワンカット」という枠組みによって、これまで体験したことのないエンターテインメント作品になっている。

画面への没入感が増していくとともに、伝令に賭けられた命の重さ、決死度が増していく。

いつ命を落とすかもわからない戦場における緊張感の中、様々な人間ドラマが絡んでいき、心も体も彼らの緊迫感と覚悟に覆われていく。

没入感がどんどん立体的になり、360度の方向から感傷とスリルが沁み込んでいくような未曾有の感覚。

実際は複数のカットを繋げているわけだが、最長で8分半ほどあったという各ワンカットを一切のズレなくひとつに繋げるのは、非常に綿密な調整が必要だ。

名匠サム・メンデスの指揮のもと、現在における最高の撮影監督と言っていいであろうロジャー・ディーキンス、編集は『ダンケルク』でアカデミー賞に輝いたリー・スミスと、各分野のトップランナーが集結。

これまで培ったあらゆる技術と経験を投入し、凄まじい映像作品を作り上げた。

サム・メンデスは今作をワンカットで撮ることにした理由を訊かれ、「観客が、主人公の道のりすべて、一歩ずつを一緒に歩み、呼吸をするように感じさせたかった。主人公たちと同様に戦場から抜け出せない心情も味わってもらいたかった」と答えている。

そういう想いによって映画の歴史は更新されるのだ。

『1917 命をかけた伝令』あらすじ

第一次世界大戦を舞台に、若きイギリス兵スコフィールドとブレイクの2人が、兄も含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、伝令として一刻も早く重要な命令を届けるため、様々な危険が待ち受ける敵の陣地に身を投じ、駆け抜け、立ち向かう物語。

■監督:サム・メンデス
■脚本:サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
■製作:サム・メンデス、ピッパ・ハリス
■出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、ベネディクト・カンバーバッチ ほか
■配給宣伝:東宝東和

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