青木拓磨がジャガーIペース eトロフィー初戦を総合5位、クラス3位でフィニッシュ。表彰台を獲得

 2月16日、メキシコ・メキシコシティでABBフォーミュラE選手権のサポートレース『ジャガーIペース eトロフィー』第3戦の決勝レースが行われた。

 今戦より『TEAM YOKOHAMA CHALLENGE(チーム・ヨコハマ・チャレンジ)』として参戦を開始した青木拓磨はレースを総合5位、クラス3位でフィニッシュし初戦を表彰台で飾った。

 2月6日に神奈川県のジャガー・ランドローバー横浜 みなとみらいショールームで記者会見を行い、フォーミュラEの横浜誘致と、元GPライダーの青木拓磨がドライバーとしてジャガーIペース eトロフィーに第3戦から参戦することを発表したチーム・ヨコハマ・チャレンジ。

 ドライバーを務める元GPライダーの拓磨は、1990年代にロードレース世界選手権(WGP、現MotoGP)で活躍したライダー。拓磨はテスト中の転倒によって下半身不随となってしまい、車椅子での生活を送ることになったが、レース活動を諦めることなく、四輪レースに積極的に挑戦している。

 拓磨が操るジャガーIペースは、彼がドライブできるようにアクセルとブレーキ操作が左手レバーで行えるように改造されたマシンだ。

記者発表会での青木拓磨とジャガーIペース eトロフィーのマシン

 そんな拓磨とチームにとって初陣となるジャガーIペース eトロフィー第3戦が、メキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットで開催された。

 eトロフィーの予選は、先に行われたフォーミュラEのフリー走行中にクラッシュが発生してしまい、安全バリアがダメージを受けてしまう。バリアは修復が行われたが、さらに路面の舗装が剥がれてしまうというアクシデントが発生。

 このトラブルによってeトロフィーの予選はキャンセルされてしまい、決勝レースのグリッドはフリー走行のタイム順ということになった。この結果、拓磨のグリッドは出走11台中11番手、最後尾から25分+1周という決勝レースのスタートを余儀なくされた。

 しかしレースが始まると、拓磨は怒涛の追い上げを見せる。まずスタート後の1コーナーでアウトから2台をオーバーテイクし9番手に浮上。

 その後、前を行く車両のパンクやスピンに助けられながらも徐々に順位を上げていく拓磨。レースは残り22分で2台が絡みコース上に1台のマシンがストップ、セーフティカーが投入される。

 レースは残り14分から再開。この時点で7番手まで浮上していた拓磨は再スタートで順位をキープ。残り10分で前のマシンに追いつき、果敢に攻めていく様子が拓磨のオンボード映像で中継される。

予選最後尾スタートながら、バトルも繰り広げ追い上げる青木拓磨(一番後ろ白のマシン)

 残り8分、6番手を走行する拓磨は5番手の車両に追いつきテール・トウ・ノーズに。拓磨は1コーナー差を詰め、短い直線で横並びに。

 そして2コーナーへのアプローチでブレーキング勝負となり、拓磨がアウトからオーバーテイク、5番手に浮上する。このドライビングには実況陣も「グレイトドライブ!」と称賛した。

 その後も拓磨はポジションを守り抜き、ヘッドライトを点滅させながら総合5位でフィニッシュ。6台が参戦するプロクラスでは3位となり、記念すべき初レースを表彰台という見事な結果で終えた。

 この結果に拓磨は、「今回のこの素晴らしいリザルトは、⼀番うしろのグリッドからスタートしただけに本当に嬉しいです」と喜びを語っている。

「今回私は初めてこのレースに臨むこととなり、EVのレースも初めて、このサーキットも同様です。しかし、チームのスタッフ全員が私を助けてくれ、早く馴染めるようにしてくれました。でなければ、このような結果を得ることはできなかった」とチームにも感謝をしている。

青木拓磨(右)は国際EVレースで初めて表彰台に乗った障がいを持つドライバーとなった

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