安倍首相の答弁に食い違い?桜を見る会めぐる「新証拠」に国会が一時紛糾

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新型コロナウイルスへの今後の対策などを議論する2月17日の衆議院予算員会の集中審議。野党からの質疑の多くは「桜を見る会」に関するものだった。

野党側からは午前中にその「前夜祭」をめぐる安倍晋三首相のこれまでの答弁と矛盾する「新証拠」が提出された。

首相は曖昧な回答を続け、野党が一時退席をするなど議論は紛糾した。

首相の答弁と食い違うホテルの回答

時事通信 2月12日、衆院予算委員会で質問する立憲民主党の辻元清美幹事長代行

この日焦点となったのは、安倍首相が2013年から7年間の間に「ANAインターコンチネンタルホテル東京」で計3回開催した「桜を見る会」の前夜祭だ。

安倍首相はこれまでもこの前夜祭について、たびたび指摘されてきた。それは、関連する記載が安倍事務所の政治資金収支報告書に一切ないからだ。

仮に事務所側がホテル側に会費を支払っているのであれば、「収支」として政治資金規正法に基づく記載の義務が生じる。

そのため、記載がないことは政治資金規正法違反の疑いがある。もし会費の一部を事務所側が負担していれば、公職選挙法違反(寄付行為)の疑いも出てくる、と野党は追及しているのだ。

一方の安倍首相側は、参加者がその場で会費5000円を事務所側に渡し、事務所側はその場でホテルに渡しているため、「収支」は発生しておらず、記載の必要はないと説明してきた。

ここで問題になるのが「領収書」や「見積書、明細書」の存在だ。安倍首相は前者については「ホテル側から宛名のない領収書を発行してもらい、参加者に渡した」とし、後者については「受け取っていない」として提出を拒んできた。

野党側から出された「新証拠」

時事通信

この日午前の予算委では、立憲民主党の辻元清美議員が「ANAインターコンチネンタルホテル東京」に問い合わせた「新証拠」を提出した。

辻元議員がホテル側から得た回答は以下の通りだ。

(1)2013年以降の7年間に貴ホテルで開かれたパーティー・宴席について伺います。この7年間の間に3回、総理は前夜祭を開いております。貴ホテルが見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースはあったでしょうか?

回答:ございません。主催者に対して見積書や請求明細書を発行いたします。

(2)貴ホテルの担当者が金額などを手書きし、宛名は空欄のまま領収書を発行したケースはあったでしょうか?

回答:ございません。弊ホテルが発行する領収書において、宛名を空欄のまま発行することはございません

(3)ホテル主催でない数百人規模のパーティー・宴会で代金を主催者でなく参加者個人一人ひとりから会費形式でホテルが受け取ることはありましたか?

回答:ございません。ホテル主催の宴席を除いて、代金は主催者からまとめてお支払いただきます。

(4)主催者が政治家および政治家関連の団体であることから、対応は変えたことはありますか?

回答:ございません

見積書や明細書は誰にでも発行している一方、宛名のない領収書は発行せず、さらに1人1人から会費を受け取ることもなく、政治家だからと対応を変えないーー。

こうした内容は、これまでの首相答弁と食い違うことになる。安倍首相はこうした指摘を受け、午後の委員会までに事務所からホテル側に確認を行うと明言した。

「あくまで一般論でお答えしたもの」

時事通信

午後に再開した予算委で、安倍首相は以下のように回答した。

「私の事務所が確認したところ、『辻元議員にはあくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答には含まれていない』とのことであります」

「桜を見る会前日の夕食会は平成25年、26年および28年の3会は全日空ホテルで実施。私の事務所の職員はホテル側と事前に段取りの調整を行ったのみであり、明細書等の発行は受けていないとのことでした。また、領収書については『一般的に宛名は上様として発行する場合があり、夕食会でも上様としていた可能性はある』とのことでした」

「いずれにしても、これまで私が繰り返し答弁してきた通り、夕食会の費用についてはホテル側との合意に基づき、私の職員が会費を集金し、ホテル名義の領収書をその場で発行し、受付終了後にすべての現金をその場でホテル側に渡すという形で参加者からホテル側への支払いがなされたということでありました」

ANAの回答はあくまで「一般論」であるという主張だ。この回答に、立憲民主党の小川淳也議員は、「ホテル側はホテル側で、文書で回答してきたことを重く受け止めていただきたい」とし、安倍首相側にも書面で回答を得て、提出するよう要請した。

野党は一時退席、しかし

時事通信 1月31日、衆院予算委員会で質問する山井和則議員

しかし、安倍首相は「これ以上、私から全日空側へ要望をすることは考えておりません」と、そうした要求を拒否した。

その後も同様の回答を繰り返す安倍首相に対し、野党側は紛糾。山井議員も「書面を出せないなら議論は先に進まない」「説明責任は総理にある。あまりにも不誠実だ」と語り、野党の委員が一時退席。審議が中断する自体となった。

棚橋泰文委員長(自民党)は、「本日、予算委員会は新型コロナ等に対する集中審議です。国民の皆様が見ていますので、どうかご退席なさいませんよう」と呼びかけ、その後、再び審議が再開。

野党側は文書で回答を得ることを求めたが、安倍首相は「書面だから信用できるということになると、全部書面でやり取りしなければいけなくなってくる」ことを理由に、拒み続けた。

予算委の後半には、国民民主党の前原誠司議員も「総理が何か、国民、我々を納得させる、わだかまりを氷解させる努力をされたらどうですか?」と苦言を呈したが、安倍首相は「今までも努力をして参りましたし、これからも誠意を持ってこお答えさせていただきたい」と回答するに止まった。

支持率急落、今後の行方は

共同通信の世論調査では、「桜を見る会」に関して、安倍晋三首相が「十分に説明していると思わない」は84.5%と大半を占めている。

こうした状況は新型コロナウイルスの感染拡大も重なり、安倍内閣の支持率は共同通信調査で41.0%と、1月調査から8.3ポイント減と急落。不支持率は9.4ポイント増の46.1%で、逆転した。

今回の「新証拠」がどのような影響を及ぼすのか、改めて注目が集まっている。