ピレリの最新型シミュレーターが稼働。公道用タイヤの開発とテストがさらにスピードアップ

 2月12日、ピレリはイタリア・ミラノにある研究開発部門で、最新型のタイヤ開発シミュレーターを稼働させたと発表した。

 新型シミュレーターは、ピレリが持つモータースポーツ用タイヤの設計、開発技術を活かしつつ、公道用タイヤの開発サイクルとテストのさらなるスピードアップを目的に開発されたものだ。

 ピレリは、世界最高峰のモータースポーツであるF1をはじめ、GT3車両で争われるGTワールドチャレンジ(旧ブランパンGTシリーズ)や、IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ、日本ではスーパー耐久シリーズなど、様々なモータースポーツカテゴリーにタイヤを供給している。

 2021年には、F1用タイヤが従来の13インチから18インチへと大径化が行われ、さらにWRC世界ラリー選手権の単独タイヤサプライヤーがピレリになることも決定しており、そのタイヤを現在開発中だ。

 ピレリでは10年以上前より、すでにシミュレーション技術が採用されており、現在でも研究開発部門が持つモータスポーツ用タイヤ開発の豊富な知見とともに、このテクノロジーが公道用タイヤの設計および開発に活用されている。

 そんな同社が稼働させた新たなシミュレーターは、ドライビングシミュレーターなどを手掛けるVI-grade(ヴイアイグレイド)社が製作し、直径7.5メートル、210度パノラマスクリーンで構成されている。

 このシミュレーターは公道、サーキットを広範囲に渡るドライビングコンディションで再現でき、さらにドライバーが実際のクルマで感じる感覚を、シート、ステアリング、シートベルト、振動システムを通じて忠実に再現することが可能だ。

 シミュレーターの様子はすべてコントロールルームで制御され、タイヤや路面の情報、タイヤ動作などの測定データや、シミュレーション結果が詳細にコントロールルームで記録される。

 この記録されたデータが、テストドライバーの感じた主観的な印象を補完することで、タイヤ開発やテストがさらにスピードアップするという。

 また、この最新型シミュレーターの稼働により、開発時に作られる物理的なプロトタイヤが削減され、環境改善につながるとピレリはしている。

シミュレーターのコックピット
シミュレーターに座り笑顔を見せるピレリ会長のマルコ・トロンチェッティ・プロベラ氏

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