選べることが大切なんだ、人に任せるな。投票って「義務」なの?「権利」なの?|2020年1月電話・ネットの意識調査 結果解説

選挙ドットコムでは、1月11日(土)・12日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。電話調査(JX通信社と共同実施)では1,015件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)では1,000件の有効回答を得ました。今回はその調査内で実施した「投票への考え方について」の質問について取り上げます!

日本の投票は「権利」

総務省|選挙権と被選挙権

なるほど!選挙 私たちは、18歳になると、みんなの代表を選挙で選ぶことのできる権利が与えられます。これが「選挙権」。そして、その後ある年齢になると、今度は選挙に出てみんなの代表になる資格ができます。これが「被選挙権」。 どちらも、私たちみんながよりよい社会づくりに参加できるように定められた、大切な権利です。 もくじ …

総務省によると、「国民や住民の代表を選ぶことができる『権利』が『選挙権』」とされています。基本的に「満18歳以上の日本国民」は自動的に選挙権が付与されます。反対に、逮捕されたりすると選挙権を失うこともあります。

現在、日本の投票率は低下傾向にあります。例えば衆議院議員選挙の投票率は1958年の76.99%から、2017年には53.68%まで低下しました。2014年には過去最低の52.66%をマークするなど、国民の約半数しか投票していない状態です。

投票は「義務」か「権利」か

選挙ドットコムでは令和2年1月のハイブリッド意識調査において、有権者は投票を「義務」と捉えているのか、「権利」と捉えているのかを調べるために、「日本では選挙の投票は『権利』とされており、海外では投票が『義務』づけられている国もあります。あなたは普段、選挙の投票についてどのように考えていますか。」という質問をしました。その結果は以下の通りです。

「投票は国民の義務である」が「義務」と捉えている人、「投票は国民の権利であるが、棄権すべきではない」が「中間的」な考えの人、「投票する、しないは個人の自由である」が「権利」と捉えている人です。これらの選択肢は「公益財団法人 明るい選挙推進協会」が行っている調査を基に作成しました。

結果は、投票を「義務」であると捉えている人が、「権利」と捉えている人を7ポイント上回りました。投票率は低下傾向にありますが、投票を「義務」と捉えている人の方が多いことがわかりました。

次に、ネット調査と電話調査の結果を個別に見てみます。

ネット調査と電話調査で大きな差がありました。ネット調査では投票を「権利」と捉える人が「義務」と捉える人を上回り、電話調査ではネット調査とは対照的な結果になりました。ネット調査の回答者は7割以上が40代以下で構成されており、電話調査の回答者は7割以上が50代以上で構成されています。年齢によって考えに差が生まれている可能性があります。クロス分析を用いて詳しく見ていきます。

クロス分析をしてみると

まずは性別でクロス分析を行います。調査で性別を質問する際には「男性」「女性」「その他」「答えたくない」の4つの選択肢を準備しています。しかし、男性と女性の回答者で全体の97%を占めており、その他の回答者はサンプル数が少ないため、今回は男性と女性のみピックアップして分析を行いました。

分析を行うと男女ともに投票を「義務」と捉えている人が、投票を「権利」と捉えている人を上回っていることが分かりました。また、興味深い点としては、男性と女性を比べると、男性の方が女性よりも投票を「義務」と捉えており、女性の方が男性よりも「権利」と捉えているということです。

年代別にクロス分析をすると、大きな特徴が2つありました。
1つ目は、「18・19歳」の半分以上が投票を「義務」と捉えているということです。各年代の中で「投票を義務と捉える」回答が18・19歳で最も高かったのはなぜなのでしょうか。考えられる理由として、2016年に選挙権の満18歳への引き下げがあり、それに伴い高等教育で主権者教育の取り組みが始まったことが挙げられるのではないでしょうか。

2つ目は、年代が上がるにつれて投票を「義務」と捉える人の割合が増えているということです。投票率も年代が上がるにつれて上昇しています。ライフステージの変化などに伴い、投票への考え方に何らかの変化が及ばされるのだと推察しています。

政党別にクロス分析をすると、こちらも大きな特徴が3つありました。
1つ目は、「自民党」「日本維新の会」「れいわ新選組」支持層の約半数は投票を「義務」と捉えているということです。

2つ目は、「公明党」「国民民主党」支持層の半数以上は投票に対して中間的な考えを示していることです。権利として捉えているものの、投票へは足を運ぶべきと考えています。そして、国民民主党に関しては投票を完全に「権利」であると捉えている人は0人でした。

3つ目は、「支持する政党はない」と答えた人の中では、投票を「権利」だと考える人が投票を「義務」と考える人を上回っているということです。無党派層は一般的に投票率があまり高くないと言われていますが、それは投票への考え方が影響しているのかもしれません。

投票へ行きましょう!

ここまで、投票に対する考え方について分析を行ってきました。性別、年代、支持政党でそれぞれ特徴がありました。

今年の夏には東京都知事選挙、秋には大阪都構想の住民投票が予定されています。こうした大型選挙だけでなく、毎週各地で選挙が行われており、選挙ドットコムでは全国各地の選挙スケジュールをまとめています。ぜひそちらを確認ください。

今年はもしかすると、衆議院議員解散総選挙もあるかもしれません。私たち国民の代表を選び、民意を示す重要な機会が選挙です。ぜひ、国民に与えられた大切な権利として、棄権することなく投票へ行っていただければと思います。

また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでではわからなかった全世代の声を集めることができます。ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

調査概要:調査は令和2年1月11日(土)と12日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,015件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。回答の数値は小数第2位以下を四捨五入。

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