思ったより退職金や年金が少ない…に陥らないよう現状を知って今から増やす方法は

「思っていたよりも退職金が少ない!」「思っていたより年金が少ない!」退職金や年金を受け取ったときに、「がっかりした」というのでは困ってしまいますね。退職金や年金が思っていた金額より少ないと、定年後の生活設計が大きく狂ってしまったり、老後の資金計画を考え直すなどということにもなりかねません。この退職金の額や年金の額は、事前に確認をしておきたいものです。

退職後の生活設計を計画するときに、もっとも大きな収入というのは退職金や年金です。ですから受け取れる金額をある程度知っておくことがとても重要になります。

平均的な退職金の額はどのくらいか、年金額の確認の仕方についてお話しします。そして退職金や年金をできるだけ増やす方法もあわせて説明します。


ガッカリ退職金になる前に確認を!

退職金額は、社内規定で決まっている会社もありますので、事前に総務部で確認ができます。

ただし、すべての会社に退職金の規程があるかというとそうではありません。退職金は、法律で決まっているわけではないので、退職金のない会社もあります。

ちなみに退職金制度のある会社は、80.5%で、うち1000人以上の企業では、92.3%、30〜99人の企業では、77.6%です(厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」)。

では、退職金の額の平均はどのくらいでしょうか? 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によると、勤続35年以上の退職一時金制度のみの場合は、大卒・大学院卒は1897万円、高卒(管理・事務・技術職)1497万円、高卒(現場職)1080万円。

中小企業の退職金の平均は?というと、次のような数字があります。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職者事情(平成30年度版)」によると、大卒は1203.4万円、高専・短大卒1106.6万円、高卒1126.8万円だそうです。

実際の退職金額は、勤続年数とか、その時の給料などで違いますので、会社の総務部などで確認が必要です。

退職金のだいたいの受け取り額がわかれば、退職後の資金計画を作ることができます。もし退職金を使って住宅ローンの全額返済を考えている場合、想定していた金額より退職金が少なくて返済ができないと、老後の計画が大きく変わってしまいます。

給料=年金の受給額、ボーナス=老後資金?

65歳以降に受け取る年金の受給額は、「ねんきん定期便」、または「ねんきんネット」で確認ができます。また、「ねんきんネット」を利用すれば、年金の受取額のシミュレーションもできます。毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」は必ず確認してください。

定年後の生活における大きな収入は年金です。いざ受け取るときになって、少ないと思っても遅いのです。年金の受給額を確認すれば、老後の生活をある程度イメージができます。

年金の受給額をベースに、毎月の支出を考えていきましょう。毎月の生活に足りない分が、老後資金からの取り崩しになります。ですから、できるだけ年金の受給額に合わせた生活費を考える必要があります。

つまり、年金生活は、年金という給料で生活をすると言ってもいいのではないでしょうか。そして足りない分をボーナス(老後資金)で補うと考えるとわかりやすいと思います。

たとえば、転職して新しい会社に行く場合には、必ず次の会社の給料を確認するはずです。確認しないで新しい会社を決めることは、普通ありませんね。

それと同じです。年金生活という新しい環境での収入(年金)は、まず確認をしてください。

退職金は余裕資金ではなく大切な老後の生活費

思ったより退職金が少なかったとしても、それなりのまとまった金額になります。しかし、ここで浮かれて気が大きくなって一気に使ってはいけません。退職金とは余裕資金ではなく、大切な老後の生活資金なのです。

退職金が少ない時には、少しでもその資金が長持ちするような対策を考えたいものです。その一つの方法が運用です。しかし、運用経験のない人がいきなり運用するのはとても危険です。ですから退職金などを一気に運用するのではなく、NISAやつみたてNISAを利用して時間の分散、投資対象の分散をして運用するのがいいでしょう。

そして、資金寿命を延ばす方法で、もっとも効果的なのは長く働くことです。長く働けば収入があるので、その分、資金を取り崩す金額が少なくなります。また、長く働くことが生きがいにもつながりますから健康寿命も延びていくことになるでしょう。

年金の受給額を増やす方法

次に年金が少ない場合の増やす方法です。ひとつが、退職金が少ないのと同じになりますが、長く働くことです。会社員として働いた場合は、厚生年金に加入しているので、年金の受け取り額も増えていきます。

自営業や、働いていない人は、65歳まで国民年金の任意加入ができます。これで年金が増えますし、厚生年金基金に加入するとさらに年金額が増えます。

そして、65歳以降も年金の繰下げ受給をすると年金は増えます。年金の繰下げ受給は1年で8.2%の増額になります。70歳まで繰り下げれば、最大42%の増額になります。この増えた金額が一生涯続くのでとてもお得になります。

年金の額が少なくてがっかりした人も、このように受け取り額を増やすことができます。少しでも豊かに老後生活を過ごせるように検討してみてください。

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