新型肺炎広げないため 受診は他人と接触避け 病院内には指示受けてから 医療現場はパンクを懸念

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感染した患者が治療を受ける陰圧室。他の部屋より気圧を低くして病原体が外に漏れないようにしている=17日、うるま市・県立中部病院(提供)

[新型肺炎 県内感染の波紋](3)

 「意識が高い」。本島南部の病院で働く医療従事者の40代男性は感心した。県内初の新型コロナウイルス感染が確認された女性が、自分の判断で他の患者との接触を避ける行動をしていたためだ。女性はいきなり外来を受診せず、まず自家用車内で待機。病院の指示に従い、通常と違う入り口から院内に入った。

 一方で男性は、患者任せの現状を心配する。「ふらりと自覚のない患者が来たらどうすればいいか。ウイルスは見えないし、受診は断れない」

 男性の病院は外来・入院患者とも、重症化しやすい高齢者が多い。「院内で感染が起きたらと考えるだけで身震いする」と語った。

 本島の総合病院に勤める医療技術者の男性(35)は「県内の感染は時間の問題だった」と話す。勤務先では2月中旬からマスクが在庫不足に。1人が使えるのは1週間に1枚だけになり、ガーゼをマスクと口の間に挟んでそれを毎日交換し、マスク自体はアルコール消毒でしのぐ。15年のキャリアで初めての事態だ。

 勤務先は感染症指定医療機関ではない。しかし、爆発的な感染が始まったら、一般の病院にも患者は来る。「特効薬はなく予防策で乗り切るしかないが、今のままでできるのか」。先の見えない状況を憂いた。

 一方、国は17日、新型コロナウイルス感染を疑って保健所に相談する「受診の目安」を公表した。中国湖北省の滞在歴など、これまでかなり限定されていた目安を改め、「37.5度以上の発熱が4日以上」「強いだるさ、息苦しさ」などと大幅に緩和した。

 普通の風邪やインフルエンザとの見極めは難しく、相当な人数の受診が想定されるが、県内で一日に検査できるのはわずか9人。「通常診療だけでもいっぱいなのに、どっと患者が来ればパンクする」。医療現場からは、早くも懸念の声が噴出している。

 本島南部の総合病院の内科医は訴える。「安易な『コンビニ受診』をしないことが医療現場も重症者も守ることになる。県民一人一人の行動と意識にかかっている」(社会部・下地由実子、篠原知恵、政経部・砂川孫優)