閣僚の資質

 〈答弁が不安定〉〈言い間違えが多い〉〈「助っ人」を答弁に立たせた〉〈資料を棒読み〉…ひと頃はさんざんな言われようだった。政府の公文書管理を巡って、国会の審議で矢面に立たされた衆院長崎4区選出の北村誠吾地方創生担当相▲元来、とても気さくで、陽性のキャラクターが持ち味の人だ。元気をなくしてはいまいか、と心配しながら「閣僚の資質」とは何だろう-と改めて考えた▲元はと言えば、北村氏の答弁ぶりがクローズアップされたのは「桜を見る会」の招待者リストだか、推薦者名簿だかの手前勝手でずさん極まりない管理が次々に表面化したせいだ▲例えば、北村氏が答弁に詰まった「保存期間の法的根拠」なんて、そこから派生したほんの枝葉末節にすぎない。言ってしまえば、とんだとばっちり▲所管事項のすべてに明るく、何を問われてもサラサラと立て板に水-それが世の言う“閣僚の資質”なのだろうか。しかし、口八丁手八丁で言葉ばかり巧みに操り、クロや灰色をシロと言い張っても平気な顔…そんな大臣に私たちは信頼や親しみなど感じない▲「格好の標的」と書いた記事を苦い気分で読んだ。もっと分かりやすくて大きな的があるはず-と。そんな気分が届いたのかどうか、野党の矛先は今、真っすぐ首相に向いている。(智)

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