【MLB】MVP“奪われた”ヤ軍ジャッジ、アストロズ世界一に「価値はない」 ダル発言を支持

ヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:Getty Images】

ジャッジは2017年に本塁打王&新人王も、MVPは“疑惑の人”アルトゥーベが受賞

 アストロズのサイン盗みへの非難の声が連日あがっているが、ヤンキースのスター選手、アーロン・ジャッジ外野手もついに苦言を呈した。MLB公式サイトが報じている。

 不正が行われていたとの調査結果が出た2017年シーズン、ヤンキースはア・リーグ優勝決定シリーズでアストロズと対戦し、3勝4敗で敗れてワールドシリーズ進出を逃していた。その年、ジャッジは52本塁打で本塁打王を獲得したほか、リーグ2位のOPS(出塁率+長打率)1.049と一気にブレーク。ア・リーグ新人王に輝いた。

 MLB公式サイトは、アストロズに対するジャッジのコメントを掲載。その中で「(サイン盗みが発覚するまでは)僕は彼らに大きな敬意を抱いていた。プレーする姿、そして彼らの成し遂げたことに対してね。そしてその後、(世界一の称号は)得るべくして得たものではなく、彼らが不正行為をしたことを僕は知った」と苦々しい胸中を吐露している。

 奪われたのはワールドシリーズ制覇だけではなかった。ジャッジはその年のMVP投票で2位。1位は“ブザー着用疑惑”も湧いたアスロトズのホセ・アルトゥーベ内野手だった。“小さな巨人”とライバルから恐れられたアルトゥーベはこの年、リーグトップの打率.346、OPS.957の好成績を残していた。本人は、球種を知らせるブザーの使用は真っ向から否定したものの、ドジャースのコーディ・ベリンジャー外野手は「みんな知らないだろうけど、2017年にアルトゥーベはジャッジからMVPを奪ったんだよ」と大批判している。

「僕からすると、タイトルに価値はないと思う。不正行為をしたのだから」

 ジャッジはさらにこう続けている。

「ベリンジャーの発言は、僕にも納得できる部分がたくさんあるよ。誰が何と言おうと、(サイン盗みは)試合に影響を与えたんだ。打席に立って、投げてくる球が分かっていて……。四球も増えるし安打も増える、つまり出塁する選手が増えるってこと。そこから自分が打席に立てる。だから、ア・リーグ優勝決定戦での試合結果に間違いなく影響したんだよ。僕らは得点もできなかったし色んな事が十分にできなかったと、アストロズの立場からすると言えるかも。けれど、試合には影響していた。もの凄くね」

 さらに、当時ドジャースに在籍したダルビッシュ有投手がアストロズが世界一の称号を剥奪されないことに「違和感を覚える」と話したことにも言及。ジャッジは「僕からすると、それ(タイトル)に価値はないと思う。不正行為をしたのだから。努力のたまものではない」とダルビッシュの考えに同意している。

 もしジャッジが新人王とMVPをダブル受賞していれば、1975年のフレッド・リン(レッドソックス)、2001年のイチロー(マリナーズ)に続く史上3人目の偉業だった。2017年の世界一だけでなく、あらゆる選手のキャリアにも影響を与えたとされているアストロズのサイン盗み。選手たちの怒りが収まる気配はない。(Full-Count編集部)

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