2月19日、アストンマーティンは2020／2021年シーズンから参入するとしていたWEC世界耐久選手権のLMHル・マン・ハイパーカークラスへの参戦を延期すると発表した。同社は今年9月に始まる新シーズンに向けて『ヴァルキリー』のLMHレースカーを開発してきたが、同プログラムを再評価するとしている。
アストンマーティンはトヨタとともに2020／21年シーズンのWECに“ハイパーカー”を投入するとみられていた主要自動車メーカーのひとつだ。
英国ブランドは2019年6月に行われたル・マンでの発表後、レッドブル・レーシングと共同開発しているハイパーカー、ヴァルキリーをベース車としたLMHカーの開発を行ってきたが、今年1月にACOフランス西部自動車クラブと北米のIMSAによって合意された“LMDh”プラットフォームが共同発表されたことを受けて、このプログラムを延期することを決定した。
これはヴァルキリーのレースカーが、2020年9月に行われるシルバーストン6時間レースで世界耐久選手権にデビューしないことと、2021年のル・マンに出場しないことを意味する。
一方、アストンマーティンは2019／20年WEC第4戦終了時点で選手権をリードしているLM-GTE Proクラスでの活動継続をアナウンスし、バンテージAMRでのチャンピオンシップ獲得に向けて、引き続き注力していくことを表明。
あわせて、2021年シーズンからレーシングポイントF1とともに行う“アストンマーティンF1”としてのワークス活動に向けて、体制整備の準備を進めているという。なお、同ブランドのF1ワークス参戦は1960年以来初となる。
アストンマーティン・ラゴンダの副社長兼チーフスペシャルオフィサー兼アストンマーティン・レーシング社長であるデビッド・キングは今回の判断について次のように述べた。
「スポーツカーレースでこのような重大な変化が起きているなか、WECのハイパーカークラスへのエントリーを一時停止するという決定は、スポーツにおけるトップレベルのステータスと、そのなかにある私たちの居場所を冷静に評価する時間を与えてくれる」
アストンマーティン・ラゴンダ社長兼グループCEOを務めるアンディ・パーマーは「ル・マン24時間レースで総合優勝を目指すアストンマーティンの野望は衰えていないが、昨年この計画を立てたタイミングには予期されていなかった状況の変化を考慮し、我々の立ち位置を再評価するのは正しいことだ」と語った。
「我々はヴァルキリーで、同じようなハイパーカーと同じ考えを持つメーカーと戦うことを理解してWECとル・マンへのコミットを決めた。しかし、状況が変わった」
「私たちは一度立ち止まり、自分たちが進むべき選択を再考することが理にかなっていることだと考えているんだ」
