互いの金銭感覚に一生ついていける? 結婚で大事にしたい「お金の優先順位」

自分の長い人生を考えた場合、ストレスなく生きるには「使うお金の優先順位が合う配偶者を見つける」ということが相当重要だと思います。多分、「政治思想が合っている」「趣味が合っている」なんかよりもずっと重要です。


何にお金をかけるか

分かりやすいのが「ミニマリスト」と呼ばれる人々です。もしも夫婦のどちらかが「私はスウェーデンのオシャレ家具に囲まれ、食器はロイヤルコペンハーゲンとマイセンの一式を揃え調理器具はルクルーゼ。子供が生まれたらベビーカーはとにかく海外のブランド品!」なんて考えを持っていたらミニマリスト夫婦(家族)としての生活は成り立たなくなります。

ミニマリストは究極的な例ではありますが、「家具なんて人からもらったもので充分」と考える二人がいた場合、家具にかける金額はかなり少なくなる。貯金のために欲望を完全に抑えよ、と言いたいのではなく、「そんなもんにカネ使うんだったら○○に使おう」という点で一致すると本当にストレスを感じることはありません。

自分自身の生活を考えても、食器で使うものはごく限られたものでしかないことに気付きました。別にインスタグラムにおしゃれ生活を公開するのが趣味でもないため、適切な皿を使えばそれで十分です。たとえば、写真の皿については、以下の用途があります。

(1)カレー
(2)パスタ
(3)タイ米の上にアジア風おかずぶっかけ
(4)回鍋肉や麻婆茄子を2人分ドンと入れ、そこにスプーンを入れて交互に小皿に移す

結局10種類ぐらいしか食器は使わなくなってしまいます。私は最近料理関連の文章を書く仕事が増えているのですが、何を作っても結局は同じ食器に入っています。それを妻がどう見ているかといえばまったく気にしていません。ただし、ビールや麦茶を飲む時に松徳硝子株式会社の「うすはりグラス」は味がより良く感じられるためこれは選んで買いました。

若者におごってもOK?

あとは「電化製品は壊れたら買い替える」という考えも我々は同じです。車は持ったことがないので分からないですが、「そろそろ5年も乗ったしニューモデルが出たから買うか」といった発想にはならないでしょう。持っていたとしても「20年も乗ってガタが来たから買い替えるか」といった発想になるかと思います。

この時「そろそろ新しい車が欲しい」と考える夫と「まだ乗れるのにもったいない。下取りに出すにしても、あなたが買う車の場合は追加で300万円ぐらい必要でしょ? そのお金があったら息子の教育資金に使いたい」なんてことを言う妻の間には衝突が発生します。

交際の間にそういった金銭感覚というものは見えてくるもの。将来的に結婚に至った場合はこうした日々の金銭感覚の違和感が、結局は総合的な「価値観の相違」ということで離婚に繋がってしまうのです。

あとはお金の使いっぷりについても金銭感覚が似ていると衝突は減ります。私の場合、若者と飲んだ場合は多めに出すべきだと考えています。

それに対して「同じように楽しんだんだから、あなたが多く払う必要はない。もっと家庭にお金を落としてほしい」なんて妻から言われたら、割り勘にせざるを得ないでしょう。とはいっても、私の妻にしても同級生に売れない芸人がいたり、バイトで生活をまかなっている友人がいたりするため多めに出すことは必要だと考えています。だから「自分が多く支払わざるを得ない状況というものは存在する」という認識も共有できています。

それに加えて「旅先でお土産を買う必要はないと思っている」「この世でもっともおいしい食べ物は鰻重。4,800円までだったら躊躇せず支払う」「ビジネスクラスで得られる快適さと支払うコストは割に合わないのでエコノミーでOK。ただしLCCのアップグレードはOK」「新幹線のグリーン車はあまり意味がないけど在来線のグリーン車は意味がある」といった金銭感覚を共有しています。

大人になってからの人間関係のほつれというものは、お金が絡むことが多いもの。借金を頼まれ、踏み倒されたらその関係は大抵終わるでしょう。

他人であればそこで縁を切って終われるのですが、家族となるとそうも言ってられない。だとしたら、極力家庭内ではお金で揉めないことがストレスのない人生に繋がります。結婚を意識している人は、相手の金銭感覚をバッチリと把握し、「この感覚に一生ついていけるか」ないしは「この感覚を私に近い方向に持っていくよう説得できるか」を考えた方がいいと思います。

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