アップル不振で交渉長期化懸念 JDI白山工場売却

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 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大で米アップルのスマートフォン生産が下振れし、ジャパンディスプレイ(JDI)の白山工場売却の交渉が長期化する懸念が出てきた。工場取得を検討するシャープはアップル向けの液晶パネル増産が目的であり、スマホの生産低下が長引けば大型買収のリスクを避ける可能性がある。JDI側は年度内の決着を目指す姿勢だが、予断を許さない状況だ。

 「(新型肺炎の影響は)これからだと思う。どんな形でいつまであるか読めず、刻一刻と変わる情勢をみていく必要がある」 19日、シャープの社長室広報担当者はこう話し、肺炎拡大が液晶パネル生産に影響を及ぼす可能性を指摘した。アップルと共同での取得を協議しているとみられる白山工場に関しては「業績への寄与やリスクを慎重に検討する」との方針を改めて示した。

 今後の条件交渉に際して「これからの状況を踏まえていく必要がある」とし、将来の需要動向を見据える必要性をにじませた。

 JDIの白山工場を巡っては、アップルがシャープに対して共同取得を要請し、負担割合などについて協議しているとされる。アップル向けのパネル生産で工場の稼働率が高まっているシャープとすれば、白山工場の買収で生産能力を補強するメリットがある。

 ただ、好調だったアップルの主力機種「iPhone(アイフォーン)」は、新型肺炎で生産・販売とも大きく揺らいでいる。同社は17日、2020年1~3月期の売上高予想を達成できない見込みと発表した。生産委託先の中国工場の操業が滞り、世界的な供給が一時的に制限される見通しとなった。

 シャープの白山工場取得のタイミングに関して、電子部品業界関係者からは「需要が後退局面に入る今、巨額投資のリスクを負ってまで取得を急ぐだろうか」と指摘し、長期交渉となる見方が出ている。同社はかつて液晶パネル事業の不振で経営危機に陥った経緯もあり、慎重意見がせり上がることも考えられる。

 一方、JDIは白山工場について「どんな形であれ、年度内に結論を出す方針に変わりはない」(広報担当者)とする。現時点で生産はしていないものの、設備の試運転は続けている状態という。売却交渉に関し、広報担当者は「決定したことがあればお知らせする」と述べるにとどめた。